第一章 主神が千変万化のお働きをされながら地上天国を建設されること

敬<うやうや>しく惟<おもんみ>るに 世尊観世音菩薩此土<せそんかんぜおんぼさつこのど>に天降<あも>らせ給ひ 光明如来と現じ 応身彌勒と化し 救世<ぐせ>の真神<みかみ>とならせ給ひて 大千三千世界 *1の 三毒 *2を滅し 五濁<*2ごじよく>を浄め 百千万億一切衆生の大念願 光明常楽永劫<こうみょうじようらくえいごう>の十方世界*3を成らしめて 五風十雨*4の不順序無<くるいな>く 吹風枝も鳴すなき 五六七御代<みろくのみよ>を生み賜ふ

   大意

 心をつつしみ、うやうやしく威儀を正して、よくよく考えてみると、全宇宙の創造主であり支配者である主の大神様は、地上天国建設の目的をもって、まず大慈大悲の世にも尊い観世音菩薩として顕現され、この世に天降ってこられお救いをなされていたが、時きたって光明如来として現われたまい、また時に応じ機に応じて仏身を現わして世を救う応身弥勤の働きをされながら、最後には大光明真神様とご顕現になって、衆生を救済されるのである。
 そして、この大宇宙の神幽現の三界にわたる諸々の罪や穢れを滅ぼし浄めてきれいにし、百千万億と数えきれないすべての人びとの大きな願望であるところの、つねに光満ち、永遠によろこびと楽しみのいたるところに満ち満ちている世界をおつくりになるのである。

 その理想世界は、五日に一度風が吹き十日に一度雨が降るというような、まことに穏やかな狂いのない秩序正しい世の中であって、これが、五六七<みろく>のみ世、地上天国の相であり、それをご神力によってつくられるのである。

*1大千三千世界
 
 明主様の御教えを引用しよう。
 『本教祝詞の中に、大千三千世界という文字があるが、これが仏教では三千大千世界というように、反対であるのはどういうわけかとふしぎがる人がよくあるから、ここに解説してみよう  。
 まず、この両者の意味を文字によって説いてみるが、大千世界の大の字は、宇宙全体という意味である。大とは無限大の意  味で、言い換えれば全大宇宙ということである。また大という字は五つの棒でなっているから、五は火であり、火は霊であり、霊は天であるから、天は上になるのがほんとうである。ところが三千世界とは、神幽現の三界を指したもので、大千世界が三つに分離されたそれを称えたものであり、三の数は水であって、水は体である。また、文字からいっても、大は一の字を引くから初めであり、三は二のつぎに位するものであるから、下につくのがほんとうである。また、霊主体従の法則によっても、霊は上に体は下になるべきである。また、いまひとつの解釈は、大は火であり、三は水であるとしたら、大は昼の世界であり、三は夜の世界となるから、仏教は夜で月の教えとしたら、いままでは夜の世界であったから三が上になっていてよかったのである。本教は昼の世界の宗教である以上、大千三千世界というのがほんとうである』

『大という字は「一人」と書きますが、つまり「一人」とは「主」ですからこれが元です。それで三千というと三界です。神幽現あるいは天地人で三つに別けてあるわけです。最初は一でそれが三つに分かれるのがほんとうです。ですから三の方を上につけることはまちがいです。……大千三千世界というのがほんとうです。ですから私はそう書いたのです。ところがそれを見て質問したり疑問に思ったりするのです』

『神界、仏界、現界を三千世界という。三界万霊というのはそれである。大千世界は三千世界全体をいったもの、総合体である』

 以上の御教えによって、もはやつけ加えるべき何物もないが、参考までにいえば、仏教において、宇宙の成立構造を須弥山<しゆみせん>説によって説明するとき、須弥山を中心に、一世界があり、その一世界が千で小千世界、小千世界が千で中千世界、中千世界が千で大千世界となりこれを総称して三千世界、または三千大千世界と称え、これが一仏の教化範囲とされているそうである。今日の天文学
  説よりみても、非常に興味深いものがあるとされている。

*2三毒……五濁
 
 明主様御教え
  『仏教にある言葉です。三毒は貪<どん>、瞋<じん>、痴<ち>、これは字の通りです。五濁の方はまあいろいろな罪穢れです。……これを滅することは、いいことをすることです。いいことをしないで滅するのだったら、苦しむんです。しかし、この苦 しむ方は骨が折れる割合に効果が少ないんです。ところが、いいことをする方は、人によろこばれ尊敬されて、罪が消えるのもとても早いんです。これが信仰ですね。だから教修を受け入信するということは、穢れを消滅する方法を覚えることと、これを行なうことを知るのですね……』

参考
三毒 人間の根本的な迷いで
 貪(貪欲)むさぼり
 瞋(瞋恚<しんに>)いかり
 痴(愚痴<ぐち>) おろかさ
 の三種の人間の犯す根本的な迷いであり、煩悩である。
 
五濁  劫濁<ごうじよく> 時代的、社会的に拡がってゆく

穢れ。  見濁<けんじよく> いろいろな誤った、そして邪な思想が世の中にはびこること。
 
煩悩濁<ぼんのうじよく> さきに説いた三毒が世の中を穢すこと。 

衆生濁<しゆじようじよく> 人間の心身ともに衰え、資質が低下してゆくこと。

命濁<みようじよく> 人間の寿命がだんだん短くなってゆくこと。
 
 この五濁は、はじめからはげしいものではなく、世の乱れとともにだんだんと織烈なものになってゆくといわれ 、これを五濁増という。要するに今日の時勢をみれば、精神的公害、物質的公害が激しくなって、環境が汚染されて いくことがよくわかるのであって、本教が、この世のいっさいの 浄化に立ちあがり、御教えと、その実践──浄霊行を世に打ち出すために努力するいわれも、よく理解されるであろう。
 
 この世の苦しみに巻き込まれて自分が苦しむ、その原因が自分みずからにあることなれば、反省と浄霊によって解消も困難ではないかもしれないが、前世に蒔いた種、祖霊の因縁によるものなれば、容易にさとりにくく、反省もできにくいことでもあろうが、本教の救いは、まず己の心のもち方をつねに天国建設の奉仕に向け、浄化の理をさとり、御教えと浄霊の実践によって世を救い人を救うことによって、こうした三毒五濁の苦しみより脱け出すことでなければならない。

*3十方世界<じゆつぽうせかい>
 
 明主様御教え
 
『これは、東西南北と、その間である東北、西南、西北、東南の八つを八方といい、それに天地の二方を加えて十方世界というのである。つまり地球を中心とした方角をいったものである』

*4五風十雨
 五日目に風が吹き、十日目に雨が降るということであり、天候が順当で農作その他に非常に好都合なこと、 転じて天下泰平のひとつのきざしを示すものであって、理想世界、地上天国招来の節はこうなるであろうとの願望を示したものである。