世界はどうなる

 朝鮮問題を契機として世界の状勢は一変した、今まで誰しも想像していた事ではあるが長い間の冷い戦争が遂に熱い戦争になってしまったからだ、それが目前の現実である、お隣りから第三次大戦の口火としか想われない戦争が始まろうとは誰しも予期しなかったであろう、最早対岸の火災視してはおられない事態となったのはもちろんだが、と言って今日本はどうする事も出来ない無防備国家である、只吉田首相の言うごとく精神的援助より外に方法はない。しかしながら今後の推移によってはいついかなる局面の転回があるやも知れない事はあらかじめ覚悟しておかねばなるまい。

 そうして米国の戦力を以てしたら共産軍といえども三十八度線迄押込められるのは間違いはないがそれで戦争が終りを告げたとは想えない、最近の外電によれば中共軍十五万が援助の準備をしているとかの報や印度支那、イラン、イラク、ユーゴー、ブルガリヤ、トルコ、ギリシャ、東西ドイツ等々も何時発火されるか知れない危機を孕んでいる、元来戦争なるものは理屈や打算ではどうにもならない時の勢いである、スタートを切ったが最後突当る処まで行かなければ治まらないのは二回の大戦の経験によっても知らるるのである、しかも今後の戦争は最後に到れば原爆水爆の打ち合いとなるのは必定でこうなればもはや戦争ではない、破壊である、世界の破滅とはならない迄もその惨禍たるや想像だも出来ないであろう、ところでこの様な怖るべき悲惨事を充分承知して居ながら人類は何故喰止め得る事は出来ないのであろうか、この疑問に対し参考の為我等宗教人としての見解をここにかくのである。

 聖書にいわく「ヨハネは水の洗霊をなしキリストは火の洗霊をなす」とある、ヨハネの水の洗霊は既に彼の有名なノアの洪水で済んだ筈である、だがしかし、火の洗霊は未だ表われてはいない、と共にその時キリストの再臨が約束されている、火の洗霊とはもちろん霊と体二方面の浄化作用である、霊の浄化とは即ち霊の曇りを焼滅する事で現在我等が行っている病気治療の方法で、これも火の洗霊の一面である、ところが水素爆弾に到っては何しろ五万度という高熱であるそうだから何物をも焼尽してしまうだろう、これは体即ち物質に対する火の洗礼である、以上のごとく世界的に霊体の火の洗霊が行われるとしたら一大恐怖であり、人類史上空前の大浄化作用である。

 かくして地球上にある一切の汚穢は払拭され、拭うがごときこの地上に、燦として建設されるものそれが天国でなくて何であろう、しかしこれだけでは単なる予言にすぎないが、我々人類はこの火の洗霊に遭っても焼かれず、滅びず、生き残る人間にならねばならない、しかしこの様な幸福が可能でありやというに我等はそれが可能である事を断言する、何となれば焼かれるという事は曇り即ち汚穢があるからで、汚穢のない浄体となれば焼かれる理由がないからで、その様な浄体になる方法こそ最後に現われるべき絶対的救いの力に縋る事でここに警告するゆえんである。
(自観)

「栄光67号」 昭和25年08月30日

S25栄光