キリストの再臨

 その当時中田重治という人がやっていた、ホーリネスというキリスト教会があるんすが、そこなんか幹部の者が六人牢屋に入れられて、非常な拷問や虐待を受けて、二人牢で死んだです。まあ殺された様なものですがね。中田重治という人も病気になって死にましたがね。

 何か原因かというと、再臨派といって、″キリストの再臨″を信じた。キリストは黄金の国に再臨する、といってー黄金の国とは日本で、日本に再臨しなければならないというので、再臨派は相当居たですね。先に大阪の人で、位置は大阪に違いないがー大阪に再臨しているに違いないと、そうして探した人がありますがね。

 そんな訳で、ホーリネス教会の一人で、一体キリストが再臨したら、天皇とキリストと比べて、どっちが偉いんだと。こういう事を言ったんですがね。それは、日本では天皇陛下は偉い方に違いないが、世界的に言えば、やはりキリストの方が全人類を救われるんだから、まずキリストの方が上とみなければならない。その一言でやられたんです。只その時分に日本の軍部ーー日本の天皇陛下は世界を統一するーー八紘一宇ですね。そこで天皇より偉いという事になればそれは大変なんです。それ丈で到頭つぶされましたがね。近頃幾らか小さく始めている様ですが、まあ気の毒なものですよ。中田重治という人は中々立派な人で、言う事は正しかったですね。むしろキリスト教の方ではホーリネスを注目していたですがね。ホーリネス教会という名前で。どこかに出来たという事を聞きましたがね。

 「明主様申し上げます。関西の方で再臨教会というので盛んに致して居ります」

 そうでしょうね。やっぱりあれは、キリスト教も本当に研究すれば、そこにいくんですからね。

 そんな訳でーー話が馬鹿に横道にいったんですがーー本筋が分らなくなっちゃったが、そういう訳ですから、そうそう裏表の話でした。そういう訳だから、はっきり言えなかったんですね。ですから私の本なんかでも、最初の『明日の医術』なんかは随分ぼかして書いてありますから、確かに裏表があったんです。

 日本でも最初・・昔、仏教の最初の時代ですが、あの時代には随分神道や何かも力があって、本当の事が言えない為に大いに・・裏表どころではない、裏許りの説き方をしていた。その時分の・・真言密教ですね。あれがそうなんです。密教というのは、本当の奥義は、お釈迦さんは七王の上にあるとしてある。七つの王様の上にあるというんですね。ですからその時分の天皇に対して非常に不敬になるんです。天皇より上なんですからね。大本教にそういう研究家が居て、釈迦は七王の上にあるんだ言って、警察に呼出されて随分やられた様です。そうしてその弁明に非常に苦しんだ様ですが、これは宗教の・・霊界の事だからというので、旨く誤魔化した様ですがね。そんな訳で、言葉や筆で知らせる事が出来なかった。ですから覚りでいくんですからね。本当の事を言わないで、本当に近い様な事を言って覚らせるんです。(中略)

 それから又話が違うけれども、大本教のお筆先に旨い事が書いてあるんですよ。「人間が見て解る様なちょろこい仕組ではない。神の奥には奥かおり、その又奥がある仕組である」という事かおる。

 それから「神界が解らないと思う人は解りたるのであるぞよ」こういうのがあるんですね。それは何ういう訳かというと、人間的の考えで判断するのは、これが逸番怖いんですね。とにかく人類を救う・・新しい文明世界を造るという位の、非常に大きな、深い仕組なんですね。だからして人間的の判断なんかで到底解るものではないです。

 そうかといって、それをはっきり言う事が出来ないですね。やはり時代に・・時期に依りますからね。

 私は先から、少しづつ段々近いところを説く様にしてますが、未だ未だその深さというのはどこまでもありますからね。時期の進むに従って、説いていく訳ですね。

 だから人間は、奥の奥ー深いところ、神秘なところを分りたいのは誰でもそうですが、それを分ろうと思う丈ならいいが、只上っ面のところで・・自分の小智小才を以て善悪を判断するというのが一番工合が悪いんですよ。それが又、分る様ならやはり神様と同じなんだから、分らないのが当たり前で、只素直に時期を待つ、という態度で居るのが一番良いんですね。 

「御教え集11号」 昭和22年06月07日

御教え集