家相方位

 私は、家相方位に就いてよく質問されるから大略を書いてみるが、人間には人相という事がある如く家にも家相があるのは当然であろう。人間も人相の善<よ>し悪<あ>しによって運不運に大関係のある如く、家相も悪い善いによって運不運に影響するのである。私の説く家相は易者等の言うのとは相当相違点があるが、これは私は誰からも教えられたものではない。自分の霊感と経験によるものである事を断っておく。

 世間一般の家相見が鬼門<きもん>の方角を重要視する事は、私も同様である。只私の方との解釈が違うのである。抑々<そもそも>鬼門とは、艮<うしとら>即ち東と北との間であるが、この方角に限って何故重要であるかというと、この方角からは頗<すこぶ>る清浄な霊気が流れて来る。昔から鬼門を汚してはいけないと言う所以<ゆえん>である。例えば便所、浴室、台所、出入口等があると、それらから発する汚濁せる霊気が、鬼門よりの霊気を汚すからで、その結果として病魔や禍いの原因である邪神悪霊が跳梁<ちようりよう>する事になるからである。故に艮から流れ来る霊気はより清浄に保たせなければならない。この意味に於て、もし出来得<う>れば艮の方角に小庭を作り、それへ雄松<おまつ>、雌松<めまつ>を植え得れば理想的である。

 次に裏鬼門であるが、勿論艮の反対で、坤 <ひつじさる>即ち西南の間である。これは物質が流れ来るという福分<ふくぶん>の霊気であるから、より富貴<ふうき>を望む上に於て重要である。それには先ず石と水を配するのがよい。例えば小さくとも池を掘り、石をあしらうというふうにするのである。

 次に、入口は辰巳<たつみ>即ち東と南の間が良い。そうして門を入って玄関に到るまで、漸次高くなるのが最もよく、凡<すべ>て家の位置は坂の中途、又は坂の下、往来より低いのはあまり感心出来ないから、こういう家は長く住む事は面白くない。併<しか>し高所と言ってもその付近からみて比較的高ければよいので、相当離れた所に山や高所があっても差支えはない。又玄関が門から入って後戻りする位置はよくない。門から突当や、左右何<いず>れか横の方にある玄関がよい。又玄関を入り、突当りが突抜けになっているのも良くない。これは運勢が止まらず、行過ぎる意味になる。又奥の主人の間へ行く迄に二、三段高くなっているのは最も良い。

 家相を見るに当って、磁石を置く場所が正しくなくてはならない。然るに多くの家相見は家を基本とし、家の中心から方位を計<はか>るが、これは非常な間違いである。抑々<そもそも>家とは人間の為の家であって、家の為の人間ではない。人間が主で家は従である。家を建てるも壊すも主人の意のままであるからである。従って家は主人が中心で、主人の安住所、即ち寝床がそれであるから、寝床を中心に方位を計るべきである。そうして家の形は大体に於て凹<くぽ>みのある形はよくない。所々出張<でば>る個所があるのがよい。又鶴翼<かくよく>の陣と言って、玄関から両方へ棟<むね>が長く出る、これも良いのである。

 次に畳数<たたみかず>であるが、十畳は火水又は結びの間と言い主人の居間に適し、八畳は火の間で、火は上位であるからこれも主人の居間によく、六畳と三畳は水の間であるから妻女の居間によく、すべて畳数は偶数がよく、四畳半、七畳、九畳等は不可である。故にそういう畳数の場合は板の間を混ぜて偶数にすればよいのである。又床の間は向って右、違棚<ちがいだな>は左が原則であるが、入口の関係上その反対でも差支えはない。床のない、部屋なら、入口より離れたる所ほど良く、入口に接近したり、後戻りして床に面する形は最も不可である。

 洋間は、二階は面白くないから下に造るべきである。それは洋間は靴ばきであるから道路と同じ意味になり、上下逆になるからである。

 次に方位であるが、何歳の年齢は何の方角が良いなどと言うが、これはあまり意味がない。よく鬼門への引越しは悪いと言うが、これは反対である。前述の如く鬼門は清浄な霊気に向うのであるから、極めて良いのであるが、茲<ここ>に問題がある。それは鬼門に移住する場合、その人の業務や行為が正しくなければならない。何となれば鬼門の霊気は浄化力が強いから、邪念や不正行為のある場合、浄化の為苦痛が早く来るからである。今日迄の人間は邪念や不正業務等の人が多い為、それを怖<おそ>れ鬼門を嫌う事になったのである。

「天国の福音書」 昭和29年08月25日

天国の福音書