天国篇 ミロクの世の実相

 これをまず国際上から説明してみるが、世界各国の国境は、現在のままではあるが、実質的には撤廃されたと同様になるのである。つまり隣国に対する権力は平等となる以上、侵略などは絶対なくなるというよりも、侵略の必要がなくなるのである。ここで侵略について少しかいてみるが、今日までは侵略にも止むを得ざるそれと、そうでない侵略との二つがあった。前者の方は例えばある一国の人口が益々殖えるので、国土が狭くなり、為に過剰人口のはけ口を求めなければならないが、それを快く受け入れる国がないとしたら、どんな手段によっても、そうしなければならない事になる。ここに戦争にうったえざるを得ないのであるが、ミロクの世になれば、そういう事情は絶対起らない。というのは世界には広漠たる原野を抱えて、人口稀薄の国はいくらでもあるから、日本のごとく国土狭く、人口過剰な国家があるとしても、簡単に解決されるのである。それは世界議会があって、いかなる問題でも、慎重審議の上可決する。もちろん今日のごとき自国本位の、我利的根性など全然ないから、いかなる法案も正しいものである以上、円満に成立するのはもちろんで、一ヵ年何万人でも、過剰人口はそれぞれの国家へ公正に配分され、争いの余地などあり得ないのである。これがミロクの世の世界議会であるが、しかしそうなっても各々の国には、その国の国会もあるにはあるが、今とは違い議員の素質も立派で、自利的観念を棄て何事も世界的人類愛的に解決する。したがって現在の議場のごとき、甲論乙駁(こうろんおっぱく)、喧々囂々(けんけんごうごう)たる場面などは更になく、何事も説明だけで、和気あいあいに即決されてしまうので、時間なども今日の十分の一にも足りないであろう。その様な訳で会期も三月に一回位で、一回の日数は半日宛三日位で済むであろう。

 これにも理由がある。それは法律というものが非常に少なくなる。言うまでもなく法律なるものは善人には必要がなく、悪人に対してのみの必要品であるからで、悪人のない世界となれば、そうなるのは当然である。この様な議会を頭に措いて、現在の議会を見たならどうであろうか、忌憚なく言えば文化的野蛮人の集合場といってもいいであろう。

 ここで世界議会の事を別の面からかいてみるが、近来アメリカにおいて、唱導されている世界国家というのがそれであって、この説が出たという事も、ミロクの世の近まっている示唆であろう。そうして世界議会とは、今日の議会を世界的に拡げたものと思えばいい。もちろんその中心の首脳者こそ、今日の大統領と同様で、すなわち世界大統領が出来るのである。この任期は三年であって、もちろんÅ世界各国の議員の中から選考員が選ばれ、大統領を選ぶのであるが、その議員はその国の人口数に割当てられる。つまりこれが世界議員である。

 それから今一つの後者の侵略者であるが、その時代はもはや世界各国は武力がないので、戦争は不可能となり、前述のごとく全て合理的平和的に、人口調節が出来る以上、これをかく必要もない訳である。

「文明の創造(未発表)」 昭和27年01月01日

文明の創造(未発表)