大本教の御筆先には、慢心取違いを一番戒めているが、全くその通りである。だからこの言葉を頭に入れて信仰者をよく見ると、思い当る点がまことに多いのである。それについてよくこういう事がある。浄霊の場合、馴<な>れない最初の内は、自分にはそんな人の病気を治す等のカがあるだろうかと、オッカナびっくりやってみると案外よく治るので、不思議に思うと共に、治った人は非常に喜び、お蔭様だと言って感謝する事は誰も経験するところであろう。そうしている内にいつしか最初の神様のお蔭で治ったという事が忘れ勝ちとなり、自分にももしかしたら偉い点があるのではないかと思う入もある。ところがこれが立派な慢心であって、この時が最も危険期であるから、大いに警戒しなければならない。というのは、考え方が逆になるからである。何故かとこ言えば、私が常に注意する通り、力を抜くほどいいとしているのはこの点で、すなわち力とは人間カであるから、人間力を抜くほどいい訳である。この理によって、慢心するとどうも人間力が加わりたがる。何よりもそうなると浄霊の効き目が薄くなる。それについてよくこういう事が言われる。最初ビクビクする時分はよく治ったが、熟練して来た今日はどうも治りが悪いようだが、これはどういう訳かと疑問を起す人がある。しかし右の訳が分ればなるほどと領<うなず>くであろう。
次は取違いであるが、これが又馬鹿にはならない。信仰についての考え方であって、これがよく間違やすい。例えば神話や伝説にある神様の因縁や関係を知りたがったり、憑霊現象に興味を持ち、無闇<むやみ>に知りたがるが、以上のような事も、熱中すると本筋の方が疎<おろそ>かになる。なるほど少しは知っているのも無駄ではないが、これはある程度で止<よ>すべきである。それに囚<とら>われる結果、不知不識<しらずしらず>信仰の本道から外れやすい事になる。この原因は全く御神書の読み方が足りないからであると共に、読んでも実行しないからである。
右二つの重要な事を書いたが、これが根本的に分り実行が出来る人であれば、本当の信仰の線に沿う訳である。