誠の有る無し

 誠のあるなしを最も簡単に知る方法を書いてみよう。誠のある人は何よりも約束を重んじよく守る事である。単に約束を守る守らないだけでは世人は大した事とは思わないが、実を言うと中々そうではない。すなわち、約束を守らないという事は人を偽った事になるから、一種の罪悪を犯した事になる。約束の中でも一番軽視し勝ちなのは時間である。時間の約束をしておきながら守らない事をよく考えてみるがいい。

 すなわち、先方は当にして待っているので、その退屈や焦心は中々苦痛である。諺<ことわざ>に言う「待たるる身になるとも待つ身になるな」という事でも分るごとく、待っている人の心持を察すべきで、その心が湧かないのは誠がないからである。とすれば外<ほか>の事はいかに良くても何にもならない事になる。従って神の信者たる者は、約束の厳守、時間の励行<れいこう>を疎<おろそ>かにしてはならない。もしその実行が出来ないとすれば、まず信仰の落第生である。信者たるもの、よろしく肝に銘じて忘れてはならないのである。

「天国の福音書」 昭和29年08月25日

天国の福音書