薬については今まであらゆる角度から検討して来たが、薬と不幸の関係については、まだ余り詳しくかかないような気がするから、ここにかいてみるのである。そもそも人間の幸不幸の原因はどこにあるかというと、もちろん霊界にあるので、この事が充分判らなければならない。では霊界なるものの組織をかいてみるが、そもそも霊界は百八十段階の層になっており、これが又上中下六十段宛に分けられている。もちろん下段は地獄界、中段は中有界、上段は天国界となっており、右の六十段が又上中下二十段宛に分れており、その又二十段中でも上中下があるのである。という訳で単に地獄といっても、下段に行く程最も苦悩が甚だしくなるのはもちろんで、最低地獄に至っては難病、飢餓、闘争等が極度になっている世界である。これを神道では根底の国といい、仏教では暗黒無明、極寒地獄といい、ダンテは煉獄と曰っている。しかしこれが漸次上段に昇るに従い段々緩和され中有界に至って初始めて普通の社会状態になる。つまりここは苦も中位、楽も中位というその名称通りである。ところがそこを上方に突破するや、ここに天国界に入るのであって、こここそ仏語にある極楽浄土であるから、病なく貧なく、飲食豊かに和気藹々<わきあいあい>とした幸福に充ちた世界である。
右のごとくであって、一般人の大部分は中有界に籍が置かれているのである。ところがそこは決して安心は出来ない、というのはその人の心と行い次第で上にも下にも行けるからである。だが多くは下に落ちるので現界もその通りである。以上現界と霊界との関係をザットかいたのであるが、いつもいうごとく万有の法則は霊主体従で、人間といえどもそうである以上、霊界における霊の地位いかによって幸不幸が決まるのである。これが真理であるから、この事を知ってよく守りさえすれば、幸福者になるのも敢て難しい事ではない。という訳で現在いかに幸福と自分も思い、人に思われても霊界において天国に籍がなければ、その幸福は一時的で早晩在籍通りの地位に転落すると同様、現在いかに不幸であっても、その人が正しい信仰によって徳を施し、人を救うというように善事を行えば相応の地位に向上し、幸福者となるのである。
そうしてこの根本原因であるが、それは霊が下段に堕ちるのは霊に曇りが溜り、霊が重くなるからである。従って曇りが減る程軽くなり上昇するから、それに伴って幸福も増すのである。つまり人間の幸不幸は霊の曇りの多少によるのであるから、この原理を知っただけで、その人はもはや幸福者の仲間に入った事になるのである。これこそ霊界における千古不滅の鉄則であるから信ずる外はない。
では曇りとは何かというと、昔から宗教では罪穢としているが、これは誰も知っているから説明の要はないが、それは表面だけの事であって、その奥の深いところに大きな原因があるのでこれが曇りの本元である。それは何かというと、これこそ世人が最も結構なものとして、昔から現在までも旺んに使用しているかの薬剤である。といったら何人も仰天するであろうが、私は神示によって知り得たのであるから、絶対信じて貰いたい。すなわち薬を体内に入れればその毒によって血液が濁る。血液が濁れば霊体一致の法則によって霊が曇るのである。故に薬ほど恐るべきものはないのである。つまり薬で霊を曇らし、重くなって、霊界における地位が段々下降し地獄界に堕ちる。そこで相応の理によって醜悪な行いをする人間が増える結果、病貧争氾濫の苦の娑婆となったのである。
以上のごとく人間を不幸にする根本こそ薬剤であるとしたら、平和幸福の世界たらしむるには、何よりもまず世の中から薬剤を廃止する事で、ここに根本を開示して警告するのである。
(自観)