『地上天国』二十三号-巻頭言

 朝鮮の動乱も、しばらくくすぶっていたところ、最近に至り、俄然火の手が上ろうとする気配が見えて来た。何しろ今度燃え始まったら大変な事になろう。あるいは世界を焼き尽す劫火となるかも知れないからである。外電の報ずるところによるも、満州爆撃は、第三次戦争の口火となるかも知れないと言われている。全く中共の腰の強さからみれば、只事ではないと思っていた。果せるかな、昨今の状勢は、それが如実に現われて来た事が窺われる。情報によれば、ソ連から百六十万の装備を送るというし、飛行機も種々取混ぜて千三百機(一説には三千機ともいう)を供給するとの事であり、他艦船二十五万噸、潜水艦二十隻が出動の準備中との事である。しかもまた、百二十五万の軍隊は、急速に朝鮮に集結するとも言われている。又マッカーサー元帥の方も、中共がもし朝鮮を爆撃して来れば、直ちに満州爆撃も自由であるとの、米陸軍本部からの指令が来たとの事であるから、近く両軍の大空中戦が、朝鮮か満州の空で、大々的に始まるのは、もはやどうする事も出来ない運命と言えよう。

 これ等の状勢を綜合して考える時、日本国民といえども、今までと異った観点に立って、事態を見極めなければならないと共に、充分腹帯を締める必要が迫っている。火事が大きくなると、いつ何時火の粉が降ってくるかも判らない。危機は刻々身近に迫りつつある。無防備国家日本も、国力の許す限り、まだ講和は決らないとしても、連合軍の援助に乗出さなければならない事になろう。その場合日本としては、軍需工場の最高能力の発揮、基地の提供、国内の警備等に全力を注がねばなるまい。

 又外電によれば、ソ連の方には、原爆四百個が貯えられており、米の方は五百乃至一千個というのだから、いよいよ始まったら、原爆戦争は必死で、どんな悲惨な場面が出現するか、恐らく想像もつくまい。そこで我々日本人にとっても、最悪の場面を考えておく必要があろう。何しろ日本は位置からいっても国力から言っても、東亜の最重要点である以上、米ソ両方の争奪戦となるのは想像され得る。とすれば飛ばっ散りどころではない、両軍火花を散らす、戦場とならないとも限らないであろう。とすれば朝鮮の二の舞となる危険性もあり、これ等を考える時、日本国民としては一大覚悟をしなければなるまい。

 右は、常識的に感じたままかいたのであるが、我々宗教家としての観方は又別である。これも余り深くかく事は許されないが、いつもいう通り、最後の世の大浄化作用であって、行くところまで行かない限り治まりはつくまい。これこそ『聖書』のいわゆる火の洗霊でなくて何であろう。一言にして言えば、一大破壊が行われるのである。それについて『自観叢書』にある、昭和六年六月十五日の黎明期が、十年後の十六年六月十五日で、この時も一大神秘があったが、本年は二十年目に当るので、六月十五日以後は、いよいよ現界に物質的大変化が起るであろう事も想像され得るのである。

「地上天国23号」 昭和26年04月25日

S26地上天国