時は金以上

 世間の人は「時」を無駄にすることをあまり気にしていないようですが、時ほど大切なものはありません。他の宝はしまっておくこともできますが、時は使っても使わなくても一瞬一瞬に自分からすり減っていくものです。『命とふりかえのこの一瞬々々を心して使え』と私は言いたいのです。時とともに仕事さえしていけば、たとえ時は流れ去っても、仕事として残るからマイナスにはなりません。つまり時のエネルギーが仕事にかわって残るからです。これを思えば人生「時」ほど貴重なものはないのでありまして、われわれは命のある間に、少しでも真実ある仕事をしておかなければ、この世にだしてもらった甲斐もないわけで、無為徒食<むいとしよく>ボンヤリとくらしてしまったのでは、神にも祖先にも相<あい>すまず、第一自分が損をすることになります。まことに“時は金なり”と言いますが、それ以上です。

「栄光  四四八号」