昭和二十九年一月三日御講話(1)

だれも知らるるとおり、今年は世界的にだいぶ明るくなったような気がします。私は去年の正月の『栄光』の「新年号」に「世界夢物語」というのを書きましたが、あれは最初「これからの世界」という題で書いたのですが、出そうと思っているときに、急に「夢物語」をつけなければいけないというようなお知らせがあったわけです。それで「夢物語」としたのですが、やはりあれが夢物語になったわけです。あのときのああいう考えは、スターリンの考えとアイゼンハウアーの計画だったのです。それが私に分かったからああ書いたのです。するとスターリンが死んだために変わったわけです。そこで、スターリンが死んでから間もなく、京都に行きがけに名古屋の中教会で話しましたが、もう共産主義のほうは、これからずっと勢いが落ちる。スターリンがいるときとはぜんぜん違うということを言いましたが、これも前に型で神様から知らされていましたからそう言ったのですが、やはりそのとおりに、ソ連のマレンコフのやり方がだいぶ平和的になってきたのです。よほど前のソ連とは不気味さがなくなってきました。柔らかみと言いますか、そういうような点が大いに現われてきたのです。これは非常に結構です。しかしこのまま平和的になるかどうかは、はなはだ疑問なのです。しかしとにかく仮に第三次戦争としても、ああいう大きな戦争は英雄が好むのです。ヒトラーとかナポレオンという英雄です。スターリンなどは一個の英雄だったです。世界制覇の野望を抱いていたのですから……。ただやり方が割に派手でなかったのです。どっちかというと陰険なやり方です。それだけによけい不気味さがあったのです。ですからスターリンが亡くなってからこっちは、その不気味さは一番取れたようです。この正月早々のマレンコフの宣言なども、よほどあたりまえの、国家的ジェスチャーというか、そういう点が大いに見えていたのです。

「『御教え集』三十号、岡田茂吉全集講話篇第十二巻p115~116」