昭和二十八年十一月二十七日の御講話(2)

▽前節から続く▽

 この間『ニッポン・タイムズ』という、アメリカ人がやっている新聞の婦人記者が来て、いままでの文明は地獄を作る文明だ、それで私は天国を作る文明に作り変えるつもりだという話をしましたが、非常に共鳴してました。その人の主人というのはNHKの英語放送をやっていて、これも立派な人ですが、その婦人が外字新聞の記者になっているのです。すばらしく頭の良い人で、話がとてもよく分かって、自分はこれから米国から偉い人が来たら連れてくるから会ってくれるかと言うから、私のほうでは喜んで会うから、できるだけそうしてもらいたいということを言ったのです。その人は日本に来て四年になるそうですが、日本が非常に好きで、今度日本で家を買って、すべて日本的の生活をしているそうです。つまり畳に坐って、食べ物も日本の物で、そうして日本の研究もあるし、日本が好きな点もあるのです。美術評論家なので、世界中の美術館をまわって見たけれども、この箱根美術館はすばらしい物だと言うのです。どういうわけかというと、世界中にはずいぶん立派な物があり、日本に来ても奈良とかに良い物があるが、ただそれだけのもので、一つの雰囲気が作られてない。箱根は、美術館ばかりでなく、すべての木や草、石、いろんなものにおいて、非常に巧みに芸術的に造りあげている。つまりその感じがなんとも言えない。だから自分は帰れなかったというのです。だからずいぶん見ていたそうですが、時間がないので中途で止《よ》したくらいだそうです。つまり気持ちが溶け込んだような気持ちになって、こういうような感じを与える所は世界中にないと言うのです。だから非常に嬉しいと言うのです。ところが私も、そこを見てもらいたいのが一番の狙い所なのですから、私も非常に満足したわけです。そう思っている人もあるでしょうが、そういう具合にはっきりと言った人はいままでなかったものですから、私も非常に気持ちがよかったのです。それともう一つは、日本人で私のような考えを持っている人は初めてだと言うのです。というのは、私の考えとアメリカ人の考えはよく合うわけです。ですから私のやることはアメリカ式が非常に多いのです。そういうわけで、いろいろな話がありました。アメリカ人の金持ちの話が出て、言い訳みたいなことを言ってましたから、私はそれに対して言ってやったのですが、私はアメリカの金持ちが金を集めるということは非常に結構だと思う。というのは、私はアメリカ人の一番好きなことは、正義感が強いことだ。だからアメリカが世界の平和を維持するうえにおいて、つまり正義を貫くうえにおいては非常に物質がいる。その物質を集めるには金がいるから、その意味で金を集めるのだから、非常に結構だという話をしたら、先方でも、ロックフェラー(いまは三代目で、孫の代だそうです)などがふだんから言っていることは、金なんかあってもしようがないというのです。それはそうでしょう。金は入り過ぎるくらいですから……。だから自分は世界を平和にし、多くの人を幸福にする以外にはなにも考えない。だからそのための方法はどうすれば一番よいかということを始終考えている。というようなことを言ってました。それで私は若い時分から、アメリカの金持ちのことを本や雑誌でできるだけ見るようにしてましたから、私の話はかえって先方の知らないようなことを言いました。これは話が細かくなりますから、いずれ話すとして、そういうようなわけで、そういった日本にいるアメリカ人の間にだいぶ拡がりつつあるのです。だからだんだん日本の有識者……ジャーナリストなどよりも、アメリカのほうに早く知れるだろうと思います。またそれが一番良いのです。それは日本人に知れるよりも一番効果的です。いまのいっさいがアメリカ文化の崇拝思想になっているのですから、救世教もアメリカに知れるということが一番効果があるわけです。まだいろいろな話がありましたが、このくらいにしておきます。

▽次節に続く▽

「『御教え集』二十八号、岡田茂吉全集講話篇第十一巻p267~269」 昭和28年11月27日