昭和二十八年十一月七日の御講話(2)

▽前節から続く▽
 それから四、五日前にアメリカの『シカゴ・トリビューン』というあっちの大新聞の東洋総支配人の奥さんで、女の新聞記者ですが、来ていろいろ質問して、新聞に載せるのだそうです。それで箱根美術館も見たし、熱海の地上天国も見せたので、非常に感心して、なにを見ても聞いても心が打たれ通しで、なんと言ってよいか言葉で表わせないというようなことを言ってました。ところが昨日聞いたところによりますと、教主様に会ったけれども、自分には荷が勝ち過ぎて、どうもたちうちができない、まあ負けた形だというのです。しかしずいぶんいろいろな質問をして、自分ではそうとう自信があるらしかったです。私も思いきって話しました。その人の主人はいま朝鮮にいるらしいですが、いずれ東京に来たときに、ぜび主人と十分談話を交<かわ>してもらいたい。それでぜび『トリビューン』にそうとう大きく扱って出すという希望だそうです。「世界平和の建設者」という標題で書くつもりだと言ってますが、非常におもしろいと思います。これで一躍米国に救世教というものが知れるわけです。将来あっちに宣伝するうえにおいて、とにかく第一印象を与えておくということは非常によいと思います。先方で感に打たれたといいますか、印象づけられたのは、とにかくアメリカは白人文明、西洋文明の代表者だ、日本は東洋文明の代表者だ。つまりアメリカは緯<よこ>の文明だ、日本は経<たて>の文明だ。だからこれを結ぶということが世界としては一番重要なことで、これによって本当の文化が生まれるのだ。だからあなたのほうで私のほうを新聞に載せるということはその第一歩だ、つまり結ぶ第一歩です。だから非常な結構なことだ、というようなことを話したので、そういうようなことは向こうでも非常に印象づけられたように思われます。ただ向こうで言うことでおもしろいのは、私が宗教を始めたのは約五〇ぐらいのときからだと言ったところが、これは珍しいというのです。釈迦やキリストでもずっと若いときからだったけれども、あなたは五〇からというと、そういう年輩になってから大きな宗教的存在になった人はないと言うのです。この点は非常に珍しいことを言ってました。これは私もウッカリしていたことで、おもしろいと思います。それから共産主義はどう思うと言うから、あれは私は問題にしてない、あんなものは決して成功するものではないからと言ったら、どういうわけだと質問するから、人間で言えばアメリカや日本は上半身だ、それで下半身が共産主義国……ソ連……だ。つまり足にあたるのだ。だからもしソ連が支配権を握ったとしたら、人間は逆様<さかさま>になって歩くようなことになってしまう。そういうことはあり得ることはないと言ったところが、非常に笑ってましたが、あっちの新聞に出すでしょう。ちょうど二時間ばかり話をしました。それからもう一つ私が言ったことは、箱根、熱海、京都の順に地上天国を造るつもりだが、いずれハワイにも造り、アメリカにも造る。そうしてだんだん世界的に増やしてゆくつもりだ。というのは、いままでは公園はほうぼうにできている。しかし公園というのはごく一般的で大衆の憩いの場所というようなもので、私の計画しているものはもっとレベルの高いものです。つまり天然の美と人工の美を取り入れた、上等なものを造る。なにしろ人間が見るものとしては、現在のごとくみんなあまりに俗悪のものが多過ぎるので、見て品性が向上するようなものはほとんどない。見て堕落に導くようなもののほうが多いのだから、少しはそういった高級な、品性を高めるようなものも大いに必要だと思う。そういう意味でこの地上天国を造るのだと言ったが、非常に共鳴していました。まだいろいろありますが、気のついたことはそういう点です。
 いつも言うとおりメシヤ会館がだんだんできるに従って外国に拡がってゆくのです。そういう意味になります。できあがってからはアメリカなどには大いに発展するわけです。

▽次節に続く▽

「『御教え集』二十八号、岡田茂吉全集講話篇第十一巻p207~209」 令和17512年11月07日