それから自然栽培をやる人で、まだ徹底しないところがあります。それは土を生かすということです。いままで金肥、人肥で土の力を殺していたというのを、今度は反対に土を生かすようにするという場合に、連作が非常によいのです。それはどういうわけかというと、土自体が植物なら植物を育てるような一つの性能をだんだん発揮して行くのです。それで農村では連作を嫌って年々畑を変えることをよいとしてますが、そういうことを言うとちょっとおかしいと思うことは、米くらい連作しているものはありません。先祖代々昔からやってますが、もし連作がいけないものなら年々悪くなるはずです。もっともいまは肥料で悪くしていますが。とにかく肥料をやるために土が変質してしまうのです。そのために連作が悪いように、土が一種の片端になったようなものです。だから二毛作で米と麦を半々にやることをよいとしていたのを、私が二毛作はいけないということを言って、一毛作にして非常に成績がよいという報告がありますが、そういうようで無肥料にして連作をすれば、土はいくらでもその作物に対する性能が増して行くのです。だから実際言うと米にしてもだんだん増えていって、いまの三倍くらいになります。最近来たお蔭話で、その人は七年目ですが、最初一、二年というものは、やはりどうしても無肥料が信じられないで、なにか他の肥料もときどき混ぜたようです。それが分かって、三年目くらいから本当にぜんぜん無肥料にしたのですから、とにかく正味五年目くらいでしょう。それで去年は反当り一〇俵いくらというのです。それで他の近所の収穫は五俵いくらというのですから、ちょうど倍は穫れたわけです。そういうようなわけで倍くらいはなんでもありません。私は五割増産としましたが、本当は倍と書きたかったのです。しかしあんまり穫れ過ぎるように書くと、かえって本当にしないのです。なにか常識外れのように思われますから、割引して五割としたのです。それで農村の人はなかなか肥料迷信にかかってますから、本当にぜんぜん無肥料に切り替えるのはなかなか難しいのです。というのは土が連作によって、いま言うようにその作物に合うような力が出るということを本当に知らないからです。そこでそれをよく知るようにいま話もし、また書くつもりです。この連作により土の性能が増すということをよく心得てもらいたいと思います。
「『御教え集』二十四号、19530815、19530707、岡田茂吉全集講話篇第十巻」 昭和28年07月07日