教集21 昭和二十八年四月二十七日(1)

四月二七日

 昨日、一昨日と大乗、小乗について話しましたが、それについて今度の総選挙の結果、一番意外に成績が良かったのは社会党の左派です。それから悪かったのは改進党です。これはなぜかというと、つまり大乗と小乗の現われです。その原因は再軍備問題なのです。それが実によく現われてます。社会党左派の成績が良かったのは再軍備絶対反対です。むしろ無防備国家ということをはっきり主張してました。軍備はいらないということは根本理論です。これはあたりまえなのです。とにかく日本を第二の中共にしようというのです。だから第二の中共になれば、ソ連は日本を侵略する憂いは決してないから軍備は必要ないのです。アメリカのほうが侵略すれば、それに対する軍備がいるが、アメリカは侵略政策でないから、侵略国というのはソ連ですから、それで軍備の必要がないのです。それを主張するわけです。ところがたいてい婦人に多いのですが、日本の国家はどうなるだろうというより、自分の息子や亭主が兵隊に出されては困る、心配だ、それには戦争がなければ安心だというので、社会党左派に投票するというわけです。その反対に改進党は軍備しなければならないとはっきり言ったために、それでは改進党には投票できないというわけです。それから右派社会党は左派のようにはっきりと再軍備に反対はせず、事情により、場合によってはやむを得ない、というような危ない点があるので投票が少なかったのです。それから自由党は事実再軍備をしながら、再軍備は絶対 にしないと吉田さんが言ってましたが、これはまた非常にずるいやり方だったのです。ですから自由党が、馬鹿野郎問題があんがい影響しなかったのは、そういったずるさの勝利です。だからときによっては、ずるいということは必要なのです。国家の利害はあんまり考えないで、自己の利害のみを考えるというのが小乗なのです。それからそんなことは関係なく、本当に国家のために、ある程度は軍備をしなければいけないというのが、大乗的考えです。それで 吉田さんのやり方は大乗にあらず小乗にあらずで、やはり一種の伊都能売<いづのめ>式です。そういうように考えると総選挙の結果というのははっきりしていて、実によく分かります。ほかの政策とか、ほかのことはいくらも影響しないのです。

だいたい再軍備問題がそのまま選挙の結果に反映したわけです。それと同じような考え方がなにごとにもあるのです。信仰上にも大いにあります。小乗は経<たて>ですから、小乗的に物事をきちんと考える人はやっばり発展しないのです。そうかといって、大乗的になんでものみ込むのは、発展するかわりに危険が伴うというわけです。だから小乗と大乗の使い分けをうまくやる人が一番成績が良いわけです。このやり方が伊都能売なのです。

▽次節に続く▽

「『御教え集』二十一号、岡田茂吉全集講話篇第十巻p197~198」 昭和28年04月27日