▽前節から続く▽
それから話は違うが、いま世界の問題になっているのはソ連の平和攻勢です。外国電報や新聞の批評とかいろいろありますが、どうも本当にソ連の肚を書いてあるのは、ほんのつけたしぐらいで、本当には分かっていないらしいのです。いろんな揣摩臆測<しまおくそく>がさかんになってますが、あれはなんでもないことです。今度マレンコフとモロトフがだいたい相談してやったのでしょうが、やっぱりスターリンのやり方をもういっそう上手にやったものです。結局において一番の狙い所は時を稼ぐのです。前の休戦会談のときもグズグズと延ばしてやってましたが、それは時を稼ぐためです。それで今度アイゼンハウアーが大統領になってから、トルーマンのように消極的でなく、積極的に朝鮮、中共に向かって大攻撃をやる形勢にあるので、これを押さえなければ危ないのです。いまアイゼンハウアーに本当に腰を入れて攻撃されたら、中共としてはどうしてもたちうちできないので、これをどうしても延ばさなければならない。その延ばす手段として、捕虜問題などのようにたいへん平和を欲するかのように見せかけているのです。アイゼンハウアーなどはある程度見抜いているようですが、ヨーロッパ方面、特に英国などは喜んで有頂天になってます。そういう目的が第一です。第二は、ヨーロッパの戦備を弱めようというので、ヨーロッパ方面にさかんに平和攻勢をやって、戦争の意志がないかのように見せかけているのです。そこで西ドイツなどが大いにヨーロッパの戦備について力を入れて、積極的にやろうとしてます。西ドイツは経済的にも立ち直って元気があるのです。フランスは駄目なのです。そこでアメリカは西ドイツにどうしてもうんと力を入れているのです。それを弱めようとして東ドイツに働きかけているのです。そこで英国の関心を買うような、迎合するような様子です。そうしてヨーロッパの戦備を弱めようというそれだけなので、べつに彼のほうで平和を欲するようなことは、ぜんぜんないのです。一方は戦備を弱め、一方は準備をしようというのです。どうもそこまで見抜く者がいないのです。私の所に聞きに来れば良いが、そんなことはないから。
それで私がいつかも言ったとおり、私は宗教家でありながら大いに戦争をやりたいくらいです。それは、やればうまく勝ちます。だいたい戦争というものは智恵なのです。智恵で勝つのです。だから秀吉が天下を取ったのも智恵なのです。秀吉のやり方を見ると、無鉄砲と思われるほど大胆でしたが、それはそうではないので、それは見通しがつくから大胆にできるのです。ここはこうなるという確信が持てるから大胆にできるのです。ですからよく、私のやり方を見て秀吉と同じだと言います。非常に大胆に見られますが、べつに大胆でもなんでもないのです。『アメリカを救う』でも、無鉄砲と思われるくらい大胆に見られますが、そうではないので、私はできるだけ要心深く間違いのないようにやってますから、自分では少しも大胆にやっているつもりはないのですが、側で見ると大胆に見えるのです。外交とか世界の情勢、株の相場など、いろいろなことをそういう人に話をしますが、よく当たります。しかしなにも私は儲けるわけでもなんでもないのです。やはり一つ事が分かれば、それにつれてなんでも分かるのです。だから信者の人も、ただ信仰的ばかりでなく、世の中のことをいろいろ知ることが必要なのです。そういうようになると、どんな人がどんな話をしかけても、それに応答ができますから、信仰上にも非常に有利なわけです。ですから私は書いたり口で言ったりして、世界の情勢から世の中のいろんなことのそういう知識を養うようにしているのです。
▽次節に続く▽