▽前節から続く▽
時局問題ですが、いま世界中を騒がしているのは、ソ連の平和攻勢です。ところがこの平和攻勢を非常に喜んで、特にヨーロッパ方面などではいまにも平和が来るように、新聞などにも出ているようです。ところがソ連および中共の意図は、前にも休戦会談がずっと続いてありましたが、一時進行不可能になって無期休戦会談になりました。それがふたたび開かれたということは、やはり前の休戦会談の続きなのです。そうすると、なぜ続けなければならないかというと、やはり時を稼ぐためなのです。そこでソ連や中共のほうでアメリカの様子をみると、アイゼンハゥアーになって、今度は大々的攻撃に出るらしい、いろんな武器を日本に注文したり、台湾を解放したり、朝鮮では韓国軍の兵隊を多くして猛訓練を始めた、おまけに国民軍などが上陸作戦の演習を始めたりして、そこでいまそういうように攻撃されては中共軍が危ないのです。そこで準備が完成してないから、もう少し延ばさなければならない。そうしてまた、中共がへたにやられると、ソ連が大いに手伝わなければならないから、それもたいへんだから、ソ連のほうの準備ももっとできなければ、まだ危ないからというので、ソ連が手伝って朝鮮の戦争を延ばすというのが根本なのです。だからそれがために平和がどうということはないのです。つまり表面は大いに平和攻勢に見せかけて、そうして腹の底は、朝鮮の戦争を延ばすという、要するに時を稼ぐということが一つと、もう一つはヨーロッパ方面がだいぶ軍備を固めているので、これを崩してやろうというので、大いにヨーロッパ方面にも呼びかけて安心させて、軍備を緩めようという、やはり一種の時稼ぎです。それを狙っているにすぎないのです。
しかしアイゼンハゥアーはそれを覚っているような具合で、非常に落ちつきはらって、言うことが冷静で、それに乗るような言葉はないからたしかです。結局そういうわけで、なにしろソ連というのは世界を平和にするという肚は少しもないのです。いくらスターリンが死んでも、世界制覇の目的をやめるわけではないのです。ただいよいよとなるとアメリカと正面に向かって戦わなければならないから、それにはよほどの準備が必要ですから、五カ年計画を続けつつ、あくまでも戦備を充実させているわけです。だから日本などもうっかり油断してはならないわけです。だいたいソ連という国は伝統的に世界制覇が目的なのです。ただ前のロマノフ朝のときは、やっぱりそういった考えでやっていたところが、邪神のほうでは、もうそれでは駄目だというので共産主義を作って、レーニン、スターリンという順序でやったのです。今度は言わば三代目でマレンコフですが、しかしマレンコフもどうなるか分からないが、とにかくずっと続いてやっているのです。そのやり方は、人によって方法が違うわけですが、それが根本ですから、それさえ知っていれば良く分かります。日本の政治家たちは本当の商売人はなく、その日暮らしですから、そういう根本を見破ってないから、年中フラフラしてます。だから、いつなんどきチャンバラが始まるか分からないです。それでその一番のきっかけとしては、本当にソ連が平和政策をやるのなら、まず朝鮮から撤兵すべきです。そうして中共と蒋介石<しょうかいせき>のほうとは、まず中国を半分くらいにして両方で政権を握るというような案を持ち出せば、まず東洋だけは一時平和攻勢の具体化となりますが、おそらくそこまでの決心はつきかねるのです。たとえマレンコフのほうでそう思ったところで、毛沢東が、中国全土を掌握したものを、その半分なり三分の一に分けるという考えにはとうていならないから、どうしてもアイゼンハゥアーの強行政策によって軍事的に朝鮮から中共軍を追い払って、南北を合併させて、その次に中国の大攻撃をやるというよりしようがないわけです。
▽次節に続く▽