昭和二十七年六月一日 垂録11 (1)

【 明主様 】朝からは、初めてだから変ですね。

 

〔 質問者 〕連日の来客でお疲れでは。

【 明主様 】なんだか、性格が変わったようです。おもしろいような、骨の折れるような。

 

〔 質問者 〕陳列品はときどきお変えになられますので。

【 明主様 】いいえ、連続です。秋に……一〇月に琳派展をやるつもりですが、それまで変えないつもりです。どこの展覧会もそうです。幾月なら幾月と、そのままで通して、ちょいちょい変えるということはないです。

 

〔 質問者 〕昨日は佐藤朝山先生の猫が変わっておりましたが。

【 明主様 】あれは、平櫛田中という人が来るので、どうしてもあの人の物を出さなければならないので……ちょうどありましたから、変な人物を出したんです。田中さんが見て、これは少しひどすぎる、今度はもっと良い物を出しましょうと言っていたそうです。

 

〔 質問者 〕御招待の方は、なかなか一流専門なので、言っていることを聞いておりますとおもしろく、天狗がずいぶん。

【 明主様 】いや、ともかく天狗としてはたいしたものです。

 

〔 質問者 〕一休の讃には五、六名が非難しておりました。

【 明主様 】もう変えました。私もあれは分かっているんです。

 

〔 質問者 〕昨晩の宴会の席で長与博士が感想を述べ、来るまではあんなに立派なものと思わなかったが、来てみてびっくりした。なんでも、批評すればいくらでもできるものだが、こういうことを実行したということは敬服する。というような意味のことを言っておりました。それから中川一政画伯は、現代物が非常に見劣りがすると言っておりました。大観でも栖鳳でも良いに違いないが、ああいう良い物の中に現代物はどうも……と言っておりました。

【 明主様 】現代物を並べないほうが良いと言うんですか。あの人は分からないんです。蒔絵は古いものより現代物のほうが良いですよ。書画ですか……良いです。栖鳳なんかも良いです。古画に負けないです。栖鳳の竹なんか光琳に少しも負けませんよ。もっとも現代物の古径とか靫彦になるとたしかに負けますが、しかし栖鳳、雅邦、大観……あれは負けていません。蒔絵は現代物の松哉は断然昔のより抜いてます。

 

〔 質問者 〕因果経でエピソードがあります。この間中学校の教頭が来ましたが、益田さんの所で見たそうです。なんでも、信州の青年が、こんなものがあるが金になるかと持ってきたので、益田さんが驚いて二万円やって、この金は他のものに使ってはいけないと言ってやったそうです。青年は無造作に持っていたそうです。

【 明主様 】二三〇行あったのをいくつにも切ったんです。一巻が二三〇行です。一番長いのが八四行。それから五四行二つ。あとは三〇行、一〇行と別けたんです。切った道具屋が私の所に来ます。

 

〔 質問者 〕湯女はみんな褒めてます。長与さんも松田さんも、一番推奨してました。

【 明主様 】肉筆物では一番です。

 

〔 質問者 〕浅野さんやその他の、見に来た人はみんな湯女を褒めてます。

【 明主様 】そうでしょうね。

 

〔 質問者 〕だいたい又兵衛より前だろうと言ってます。

【 明主様 】私もそう思ってます。むしろ又兵衛は、あれから影響を受けたんだろうと思います。あの時代は落款を入れないので分かりません。又兵衛なんか、あれからよほど経ってます。

「『御垂示録』十一号,講話篇第六巻p163」 昭和27年07月01日