【 明主様 】骨董屋が益田さんに何人も入ってますからね。それで上中下と別けて、上のものを売るときは一流の道具屋で、中は中くらい、下は下くらいと、それが何軒も入ってますからね。それで、一番値が良く張って、間違いないのが、ずっと続いているんです。やり方が非常に固いです。
美術品を集めるというのは、なかなかたいへんなものですよ。道具屋というのはなかなかずるいです。君たちは詐欺だと私は言うんです。うまく法律の網にひっかからないだけのものだと。実に、うっかりすると嵌めよう嵌めようとする。そうして目を光らせている。それで相場がなかなか難しい。また品物もずいぶん良くできている物がありますよ。どうしても本物としか分からない。私でも一見分からないんです。それで二、三日貸せといって、掛けておくんです。するとだんだん厭になってくる。なんだか厭になってくる。これはいけないですね。本当の物は、だんだん良くなってくる。これが本当です。
〔 質問者 〕東京のほうでは、つかまされたと言っております。
【 明主様 】それはそう思ってます。昔からの有名な物ではないですから、突如としてできた宗教家なんて、どうせ本当のものは判りっこないんだから、ああ贋物をつかまされてと思っているんです。それで興味があるんです。しかし一度見た人は驚きますよ。
〔 質問者 〕白鶴にはちょっと負けるということでございますが。
【 明主様 】白鶴は陶器と銅器ですね。しかし日本の物はないんですからね。絵はないんですからね。私のほうは、絵は支那の
もあるし日本のもあるしね。
〔 質問者 〕白鶴は六〇年くらいかかったそうで。
【 明主様 】その当時月謝を一〇〇〇万円払っていたそうです。それだけに白鶴は良い物があります。世界的のものがずいぶんあります。しかし支那ですからね。私のほうは、日本の絵がたくさんある。絵といっても、光琳もあるし東山水墨もあるし浮世絵があるし、光琳でも……光琳、宗達、乾山、抱一……その人の有名なものばかりある。だから九月一〇月は琳派展覧会をやろうと思う。去年博物館でやりましたが、それよりかもっと上をやろうと思う。それよりか良いですよ。博物館なんか、てんで問題にならないくらいのものです。だから最初から日本一は勿論ですが、あるいは世界一とも言えるでしょう。外人が見てもびっくりします。この間、東京で一流の道具屋に巻物を五、六点見せたんです。二人に見せたんですが、一人はその晩、寝れなかったそうです。頭が変になってね。その五、六点のが、私の所にはその五倍くらいありますよ。ですから他のものを全部見せたら気絶しちゃうかもしれない。いま仁清の陶器なんかは贋物がうんとあるんです。この間、京都に仁和寺というのがあったでしょう。塀の長いね。その付近は仁和寺村というんです。いまから三〇〇年くらい前ですね。仁和寺前に野々村清兵衛という陶器の名人で、あれは日本一です。支那陶器に負けないのは仁清だけですね。仁清と乾山だけは支那陶器に匹敵して遜色ないです。仁和寺の仁と、清兵衛の清で、俗に仁清と言っているんです。あれはたいへんな名人ですね。だから仁清のものは一品だって、出ればたいへんなものです。このごろは出ないですね。けれども私の所なんか二〇くらいあります。
〔 質問者 〕説明書をつけていただきませんと。
【 明主様 】つけるのは……ものによってはつけるがね。
〔 質問者 〕説明ができないと思われますので。
【 明主様 】そういうものは説明書をつけます。それから、私の所には墨蹟……書ですね。それから歌ですね。西行とか貫之、道風。墨蹟の中でおもしろいのがあるんです。支那の無準という人の書いた、これは有名な掛物ですが、それを、茶会があって、大名はなんとか言ったがね。古田織部という、織部焼の元祖ですが、これはなかなか有名なものですが、そこで茶会をやったときに、細川が来てぜひ欲しいというので、売れと言うが、売るわけにいかない。二字です。
「帰雲」と書いてあるんですが、一字千金というから、二字で二〇〇〇両で売ってくれと言う。それでも嫌だと言ったが、昔の大名は気に入ると持って行っちゃうんです。しかたがないそうです。実に封建的ですね。あとで、二字で三〇〇〇両やろうと届けた。そのくらい細川さんが気に入ったんですね。そういった謂を書いたのがありますから、それも出します。墨蹟というものをとても好きな人は……私も好きですが、とても憧れるんです。なにを犠牲にしても欲しいと思ったら得ようとする。
〔 質問者 〕明主様の所に、そういう好きな人が来て、そういう話ばかりされては、教修のほうが。
【 明主様 】そのくらいになれば結構です。だからメシヤ教は芸術宗教というんです。地上天国を造るんですからね。天国は芸術の世界です。
〔 質問者 〕美術館をお造りになられますことは、道楽のように誤解しておりますが、美術の感に打たれて宗教的に徹底するということになりますので。
【 明主様 】結局において宗教というのは、その人の魂を向上させれば良いんですからね。昔は難行苦行して山に入ったりして苦しんで魂を磨いたんです。それからお釈迦さんは経文を唱えることによって導いたんです。私は美によってやるんです。
〔 質問者 〕説教だけでは、釈迦もキリストもやっており、やっぱり楽しみながら。
【 明主様 】なにしろ、いままでの頭じゃちょっと最初は解らないでしょうね。ところがこういう宗教はなか
ったですからね。そこで私はいままでのは地獄的宗教だ。メシヤ教は天国的宗教だということを先に書いたんです。
〔 質問者 〕夢を見ながら死んでいくというのが一番幸福だと思います。
【 明主様 】それじゃ麻薬でも飲んだら良い。それでは霊界に行って迷っちゃう。両方ですよ。やっぱりメシヤ教だって、美だけじゃない。やはり教えもあるし、理屈もあるし、それによって魂を救い、要するに目から魂を向上させるのが美ですからね。だからいろんな話を聞いたりは耳からする。また真理を知るのは頭でね。
〔 質問者 〕理論だけ聞くと哲学的になるので。
【 明主様 】そうですよ。それから、人によって、いろいろありますからね。だからメシヤ教は千手観音式で、あらゆる方面からね。
〔 質問者 〕今日集まっている資格者の方も、美を愛することから宗教情操を高めるということで。
【 明主様 】そうです。いま私が話したように説明すれば解りますからね。
やはり結局人間は希望の多いほど良いですからね。だから夢殿は良いですね。聖徳太子は一二〇〇年夢殿にいた。ただ、聖徳太子は芸術を非常に好きであり、力を入れていたというのは異色ですよ。
〔 質問者 〕明主様と。
【 明主様 】良く似てますよ。ふつうの宗教家と違うところです。一番頭が良かったですね。話ばかりになったが、質問はなにか。