昭和二十七年三月二十日 『御教え集』七号  (11)

御伺い K・M(五〇歳)、三男Ⅰ(一三歳)。昭和二六年一二月末、夜一〇時ごろ寝床より飛び起き、手を振り、目をむいて「恐い」と言いながら母親に抱きつき、苦しみましたので、すぐに病院に連れて行き鎮静剤を打ち一応収まりましたが、正月過ぎてより咳が激しくなり、一月一七日市立病院にて、感冒とのことでレントゲンの結果、胸中央縦にズッと白く現われ、縦隔肋膜炎と診断され、家で療養いたしておりましたが、ふたたび一月一九日小児科医長の診断で、ただちに入院をとのことで入院いたしました。心臓付近の肋膜ゆえ水を取ることができないとのことで利尿剤、エフェドリン、強心剤、マイシンなどの注射を続けました。そのころよりお道の話を伺い、御浄霊をいただくようになりましたが、医者の手を切れませんでした。二月一〇日妻が入信させていただき、先生方より御教えいただきましたが、薬を断ち切ることができませんでした。二月一九日三回目のレントゲンの結果、水を取るために胸部に注射針二ヵ所刺しましたが、なにも出ず、肉腫と言われ、H大の癌研究所に入院しましたが、食欲はなく衰弱ひどく、苦痛も激しいので、ラジウム、レントゲンなどの治療は無理と言われました。もう運命は決しているとのことに、即日家に帰り大光明如来様に一心におすがりいたし、御浄霊をいただきましてより、食欲も出、たいへん楽にさせていただきました。私は二月二四日、Ⅰは二五日入信。二六日御屏風観音様を御奉斎させていただきました。ただいまの状態は、会長先生の御浄霊をいただきましてより御浄化強く、ひどい喘息のようにせき込みますが、なかなか痰が切れ悪く、呼吸困難の発作が頻発します。尿量は多くなり、軟便五回ほどございました。食欲も少しおとろえ、食しますと後が御浄化強く苦しくなりますので、控えております。入院以来未だ横臥できず、坐ったままの状態でございます。御浄霊の箇所御教示お願い申し上げます。

御垂示 肉腫……誤診だね。少し見当違いをしているな。これは胸の……心臓の付近に毒の固まりがあるんですよ。たいしたものじゃないですがね。毒の固まりが……うまく見当がつけば、ドンドン治るんですがね。少しはずれている。見当がつけば、咳も減ってきます。これはじかに押してみて、こうやってみて、一番暖かい所……熱のある所、そこをやれば良いんですよ。これはたいしたものじゃないですよ、見当さえつけばドンドン良くなります。医学じゃ、こんなことが解りませんからね。いい加減なことを言って、穴をあけてみたら肉腫だと言う。肉腫はこんな所にできるものじゃない。肉腫は肋骨に……骨のある所にできるものじやない。だから私は、お医者さんに診断してもらうよりか、大工か鍛冶屋に診断してもらえと言う。なぜかと言うと、医者はいい加減にやるから、素人がやるより危ない。

御伺い 最初に苦しんだのは、どういうわけでございましょうか。

御垂示 浄霊のときか、医者のときですか。苦しみといっても理由が違いますよ。医者のときか、浄霊してからの苦しみかです。

御伺い 浄霊の前ので。

御垂示 それは、医者は苦しむようにするからです。医者にかかれば苦しみます。

御伺い 霊的のことで……その場合は霊的で。

御垂示 そうです。霊が来るんです。

御伺い A・H(四八歳)。幼少より加療にてクミチンキを一〇歳ごろまで常用いたし、二四歳で結婚、二五歳で女子を分娩。それより病弱にてアルバジル大瓶二本半くらい服用いたし、家が薬種屋でありましたために、その他種々の薬を多量に服用し、ゲンノショウコも二、三年常薬として続けております。二、三年前ごろより腰部に御浄化をいただき、一進一退でございましたが、昨年一〇月ごろより激しくなり、本年に入り多量の痔出血があり血痰を出しております。最近は体に浮腫みがあり、全身苦しく、痰の出方も困難でございます。食欲もなく一日に半杯くらい二回程度で、衰弱も加わってまいりました。夜は特に腹が張り眠れません。御神体、御屏風観音様は御奉斎させていただいております。御浄霊の重点を御垂示お願い申し上げます。

御垂示 アルバジルは悪いですよ。アルバジルで死ぬ人はずいぶんありますよ。ゲンノショウコも悪いな。しかし、この人は良く生きてますね。よほど生まれつき丈夫な人ですよ。これだけやって、生きているんだからね。これは、浄霊の重点というのはないんですがね。つまり薬毒ですからね。身体全体ですがね。ただ、ゲンノショウコだけは、お腹ですよ。しかしゲンノショウコの中毒というのは、しつこいものですよ。だから、問題は衰弱だけですね。御浄霊するだけは薬が減っていきますから、それだけは良くなっていきますが、しかしそのために食欲が減ったりするからね。どうしても衰弱するから、それを堪えきっていけば治ります。衰弱で負ければ、どうも危ないですがね。で、それは結局薬の分量にありますからね。だから、見当つかないですね。私が薬を服ましたのなら解りますがね。おまけにゲンノショウコやアルバジルなんてのは、ごく質の悪いやつだからね。お腹が張るなんてのは、いったん薬が固まったのが溶けてくるんですからね。まあ、小便の出が良いといいんですがね。お腹と腎臓……ここをよくして……それを主にしてやれば良いですね。そうすれば食欲が増えますから、衰弱が少なくなるから、まあ……一番良いわけですね。

御伺い W・F(四三歳)。二五年一一月発熱し腹に固まりができ、延髄から後頭部に上って、凝りが激しく、ぜんぜん食事も入らない状態でございましたが、一二月に御救いいただき、夫婦とも入信させていただき、昨年一二月御屏風観音様をお祀りさせていただきました。半年余りたいへん健康に暮らさせていただきましたが、秋ごろから横に寝ると咽頭部が詰まるようで、頭に凝っていく気がいたしました。二六年一一月(前年発病と同日)血痰を五勺ほど吐き、それ以来毎日四〇度近い発熱が現在も続いております。特に咽喉のまわりに、もっともあるように思われます。肋間、背部、腰が痛み、ねばい唾がひっきりなしに出ます。大小便の排泄は少なく便秘しております。御浄霊は毎日続けております。また、次男は四歳で、一週間ほど患い口から血の固まりを吐いて死にました。実父は腹膜炎、母は脳溢血で急死いたしました。このこととの霊的関係がございましょうか。またどこを御浄霊させていただきましたらよろしいでしょうか。なお、昨年一一月ごろ、町会よりもらって天井に貼っていたお稲荷さんのお札を元に返したことがございますが、右と関係ございましょうか。

御垂示 こういう便秘はかまわないです。どうしても……熱で乾くのと、食欲が減るから、便秘してもかまわないです。だれが浄豊しているんですかね。見当違いだね。右と関係……これは関係はありませんよ。これは無論薬毒ですよ。こういう人は、ここ(頸部淋巴腺)から熱が出ますからね。ここ(頸部)がどちらかが腫れてますから、これを良くやって、その次は延髄のどっちかが腫れてますから、それをやって、それで熱は減りますがね。もし減らなかったら、浄霊に力が入るんだ。力を抜いて、そこをやれば、熱はだんだん減って、それで治っていきます。たいしたものじゃないですね。肋間、背部、腰……これは、そこをやれば割合に簡単に治っていきます。

御伺い A・S。(『御教え集』三号〔第五巻三一頁一〇行目〕御伺い)足がフラフラで歩行も不自由となり、視力が非常に弱り、物が見え悪くなりました。二〇日ほど前に歩いた拍子に倒れ、その後全身浮腫み、全身がだるくなりました。祖父、父、母、当人とも入信させていただき、光明如来様は一昨年一〇月より階上床の間に御奉斎させていただいております。祖父は三〇年前より黒住教信者で、いまでも階下に出雲大神、天照皇大神、秋葉神社の軸を掛け、祠には黒住教と塩竃神社の御神体をお祀りしております。未だ、黒住教に対する執着が取れず、月並祭にもお参りいたしております。このことは霊的に関係がございましょうか。またこれらの神様はいかに処分いたしましたらよろしいでしょうか。また、昨年秋、土蔵の中に家の主と思われる蛇がいたのを、父親が殺して川に流しましたが、その障りはございませんでしょうか。曾祖父の兄弟で行方不明になっている者があり、祖父の妹が水死(子供と二人自殺)しております。ある本教信者で霊の見える方が、近所(他人)の亀吉の霊が頼っているからお祀りすれば良いと言われますが、未だ祀らずにありますが、やはり祀らねばならないものでございましょうか。右のことは霊的関係がございましょうか。

御垂示 蛇……大いに関係ありますね。これは悪いですね。近所(他人)……他人なら祀らなくても良いんですがね。頼っているといって……そうしたら、祝詞を奉げてやれば結構ですよ。そうして光明如来様に、救ってもらうようお願いすれば、それで良いです。これは霊的関係があるな。歩行……これは、蛇の霊が憑っているんですね。蛇の霊が憑ると足がフラフラになるんですよ。歩けなくなるのがあります。視力が弱るのも蛇ですね。これは、良く光明如来様にお願いして、早く……殺した蛇が人間に生まれ変わってくるように、それをお願いすると良い。生まれ変わるということが、一番良いんですがね。そうすると、かえって蛇はありがたくなるんですよ。殺されてかえって感謝するようになる。それを良くお願いするんですよ。それから、黒住教ですが、これはやっぱり祖父という人が自分から、メシヤ教信者になって、黒住教の御神体を処分したいという気持ちになってからでなければいけないですね。少しでも執着のある間は処分してはいけないですね。しかし、こういうことも障りになることはあります。一家の中で、明るくなったのに、一部分暗くなっているのでね。これも光明如来様にお願いすると良いですね。そうすると早く解決つくんです。二人の自殺……これもいくらか頼っているようですね。全身の浮腫みなんてのは、この霊が……水死の霊が憑ると浮腫みますからね。やっぱり人間に霊が憑っても……一つでなく、二つも三つも憑る場合がありますからね。しかし、これは仏様を祀ってあるんでしょう。

御伺い さようでございます。

御垂示 これは救われたくて憑るんですからね。悪意で憑るのではないからね。

御伺い 水死のほうは祀ってないそうでございます。

御垂示 それはいけないですね。早く祀らなければ……早く祀りなさい。そんなことで治るわけですがね。黒住教の御神体は下に祀ってあるんでしょう。たいしたことはないですね。光明如来様は二階でしょう。それならたいしたことはないですね。

御伺い T・T(三年前入信。三七歳)。昨年一二月四人目の出産をいたし、御守護により安産でありましたのと、従来の習慣にて、その日より便所に通いました。翌日の御教えに産後の御注意をいただきましたので、さっそくお伝えいたしましたが、たいして気にも止めない様子でございました。四日目に頭部に激痛を覚え、頭が割れるようで一〇日間続き軽くなりました。産後にもかかわらず腹部が膨脹し尿量も少なく、ついに全身に浮腫みを生じ、血痰を激しく吐き呼吸困難を起すようになりました。二回目の呼吸困難があり、御浄霊いただき楽になりましたが、全身的浮腫は取れません。三回目に及び、全身浮腫は以前よりはなはだしく、特に腹部はパンパンに膨れさがりました。一月末大光明如来様を御奉斎させていただきました。三カ月に及びますが、変化がございませんのは、御浄霊の急所が違っているのでございましょうか。また霊的に関係がございましょうか。なお、姑が入信後亡夫(金光教と禅宗の南方で祀っております)の慰霊のために、金光教会にお参りいたしましても差し支えございませんでしょうか。

御垂示 これはいけないな。こんな習慣なんてありゃしないですよ。これは、この人の習慣ですよ。もっとも、ひとのみちの信者はやりますが、これは嘘ですよ。こういうことは以前から言ってありますがね。書いてありますがね。一週間は絶対便所に行ってはいけませんよ。頭が割れるよう……言うことを聞かないからだ。金光教会に……差し支えありませんよ。亡夫は信者だったんだからね。あるいは、まだ金光教に執着があるかもしれないからね。お詣りしても良し、しなくても良し、任意で良いですがね。これは霊的じゃない。たいして気に止めない……これは、その通りやらなかったんですか。

御伺い いたしておりませんようでございます。前三回が非常に楽なお産をいたしておりますために。

御垂示 そのためです。そのお詫びですよ。それを本人が心からお詫びすれば、それで治りますよ。浄霊は結構だけれども、そのお咎めですよ。信者になった以上……じやない、メシヤ教の浄霊で救ってもらった以上……つまり私のやり方を言って、その通りやらなかったら救われっこないですね。だから、そのお詫びをするんです。頭に激痛……これは、祖霊さんが戒告したんです。それでも気がつかないんでお腹が膨脹したりしたんです。それで治るわけですがね。本人が心からお詫びしなければ駄目ですね。

御教え 『結核信仰療法』の、次を今日は読ませます。

(御論文「医学が結核を作る」「結核は感染しない」朗読)〔「著述篇」第一〇巻四八―五七頁〕

 いまの最初の原因やなにか、少し堅苦しく書いてありますから、解り悪いと思いますが、解りやすいように、くだいて書いてあるんですがね。

 
(御論文「体内の入浴」朗読)〔「著述篇」第一〇巻四一五―四一八頁〕

 それから、再軍備の問題が、だいぶやかましく言われているので、ちょっと書いてみたんです。

(御論文「再軍備に就て」朗読)

 この間、アメリカの美術館を視察してきた人の話をいろいろ聞いたんです。この人は、講話会議のときにサンフランシスコの展覧会のときの係りの中心になっていた人です。これは繭山という人で、支那陶器専門の商人ですがね。この人はそういう方面では有名な人で、信用できる人です。その人があっちの美術館の、いろいろな写真や図録……そういう物を持ってきたんです。すっかり見ましたが、どうもあんまり感心した物はないですね。支那陶器と……陶器ですね。それはそうとう良い物がありました。日本にないような良い物も若干ありました。だから、日本の美術なんていくらもないです。たまたまあれば、ほとんど贋物ですね。写真でも贋物が解るんですからね。私は聞いてみたんです。日本の美術品で一番良いのはなんですか……アメリカでね。これはニュ―ヨークの美術館ですかね。これがアメリカでは一番あらゆる方面を揃えてあるんで良いんだそうです。で、ボストン美術館にある藤原時代の『平治物語』という巻物……三巻あるんですが、そのうち一巻だけ……先の、岡倉天心が顧問になって、日本の主に絵画の良い物を集めたんですがね。それでも、岡倉先生のは現代物が多くて、古い物はあんまりないんです。その次の人が富田幸次部で、いまから三〇年くらい前に、『平治物語』の三巻のうちの一巻だけを売ったんです。その当時で一四万五〇〇〇と言うんだから、たいしたものです。それが、アメリカにある日本の美術品で一番良い物です。非常に貴重な物で、ふだんはそこに幕をかけてあるんです。それは少しでも光線が当たると、それだけ退色するという懸念からそうしたんです。それでそこに行って、見たい人は一々頼むと、布を取ってくれて、見てしまうとすぐ元通り布で隠しちゃう。というような、それほどていねいに扱っているわけですね。いまの『平治物語』は、日本では一番良い物じゃないんです。日本で一番良い物は天平時代にできたものですね。いまのは、藤原時代ですから八〇〇年くらい前ですね。天平にできた因果経という巻物は、一二〇〇年くらい経っているんですがね。で、因果経はいまは切ったんです。お経が全部で二百三十何行かあるんですが、五四行ずつに三つ切って、あとは一〇行、五行、三行くらいに切った。これは、日本における絵巻物では最高の物です。その次が伴大納言という人の画いた絵巻物で、その時代の風俗を画いてある。これも良い物です。酒井家にあるので、三巻ある。その中の一巻を、頼んで出品してもらおうと思う。その次が、博物館で持っている地獄絵巻というのがありますが、これは、いまのアメリカの『平治物語』の一部なんです。そうして、そんなような具合で、日本の美術品を非常に憧れている。この間のサンフランシスコの展覧会のときなんか、あれを見て非常に驚いちゃった。あんな良い物を、未だアメリカの人は見たことがないんですね。それで今年もぜひニューヨークの美術館でと、たぶんいま準備していると思いますがね。いまロサンゼルスで支那陶器の展覧会をやってますが、それがすんだら、日本の絵画をやるんです。ところが、去年のサンフランシスコの展覧会のは、博物館で見ましたがね。一級品はほとんどない。二級品か三級品ですからね。それですらアメリカの人は憧れるんですからね。いかに日本美術に関心を持っているかということが解るんですね。で、そんなわけで、この間も言った通り、日本には日本美術というものは、見る機会がなかったんですからね。見る機会がないということは、終戦までは、みんな良い物は……名品は財閥の土蔵の中、旧大名……そういう倉の中にしまい込んであって、見せないのを良いとしてあった。だからたまたま見せるといっても、自分たちの好きな仲間とかに、自分が持っている物の中から、良い物をたまに見せるくらいなもので、一般人が見ようと思っても、とうてい見ることはできない。それが終戦になって、ああいう階級が没落したり、それにもっていって、財産税やなにかで、どうにもしようがなくなって、ああいうのを出したわけですね。私は特殊な物だけは手に入れましたがね。そういうわけで、いままでぜひ見たいと……聞いたり、目録などで見たりして知った人が、見たいと思っても、なかなか見られなかった。そういう物を今度の箱根の美術館にそうとう並べますからね。みんなそうとう喜ぶだろうと思います。外人でも、日本美術はこんなに良い物かということが解ると思います。この間のサンフランシスコの展覧会といっても、仏教美術が多いんです。やっぱり一部の人しか解らないですから、一般には理解ができないですね。それから桃山時代の屏風なんか出ましたが、だいぶアメリカ人なんか大騒ぎをやりましたが、これもそう良い物じゃないんです、名人の傑作という物じゃないんです。光琳の屏風の白地のあっさりしたのがありましたが、これもたいしたことはない。あとは、日本の陶器や蒔絵なんかは、ほとんど見るべき物がなかったです。そんなような具合で、今度の箱根の美術館は……なにしろ狭いからね。種類を多く並べられないので、いずれは熱海に大きいのをこしらえますが、これならたくさん並べられると思います。だから、種類はたんとないが、良くもこれだけ集められたものだ、というだけの評判は得られると思うんです。まだいろいろ話したいことがありますが、時間がなくなったからね。

『御教え集』八号、昭和二七年四月二〇日

「岡田茂吉全集 講話篇 第七巻」 昭和26年03月20日