昭和二十六年十一月二十一日  『御教え集』四号 (4) 

 結局、寸鉄や歌ですね。歌だと、三十一文字で、とにかく一〇〇字も二〇〇字もいうことを現わせるんですからね。歌、俳句をやるのは非常に良いと思いますね。歌、俳句を作ろうと思うときに、例えば季節なら季節を簡単に……俳句にしろ……五七五に表現する。ということは、急所ですからね。結局、急所を見つけることになる。こういう頭の癖をつけるんですね。良いことだと思いますね。趣味のない者はしようがないが、少しでも趣味のある者は、大いにやると良いと思う。だから、いまの裁判でさえそんなですから、他の役所というのは、やっぱりそうとう無駄があるに違いないですね。だから、よくお役所式だとか言いますが、まったく役人というのは、ちょっと仕事が違うんですね。だから、官営になったのは、能率の上がるのはないですからね。いまの電力問題で、電力が足りないと言っているが、関東配電とか作ったからですね。昔、私立会社があったときは、電力不足なんてなかったですね。むしろ電力過剰のほうが多かった。やっぱり、人間は欲ですからね。欲で動いている。営利会社にすると、儲けたいから、一生懸命に……電気なら電気を……たくさん作るようになるからね。それが、役人になると、儲けるということがないから、要するに首さえ繋げば良いからね。しかたがないですよ。人間の弱点でね。

 アメリカの発展は、第一番にキリストのため、第二番目に金儲けの国ですからね。いまは戦争やっているが、昔は商人の国と言っていたからね。だから儲ければ良い。それからアメリカには、以前の日本のように、封建的に階級が定まっていないから、腕しだいという……豊臣時代のような……金儲け、腕しだいという……その根本にはキリスト教の影響があるが、そういう点が、アメリカ発展の原因だと思いますね、トルーマン大統領だって、元小間物雑貨商ですからね。だから、商人上がりですね。そしてまた、アメリカの陸軍大臣にしろ、海軍大臣にしろ、軍人を用いないようにしている。日本は、士官学校上がりの……どこまでも軍人上がりですね。そういうのを首脳者に置きましたが、あっちは、それを首脳者にしない不文律がありますね。おもしろいですね。戦をするにも……商人上がりですから……算盤を取っていきますからね。だから、日本でも算盤を取ったら、こんなみじめなことは決してないんですね。戦争を一六年に始めて……支那、中国をやっつけて、蒋介石が危なかったときに、蒋介石が和睦を申し込んで来ましたが、それを入れて、中支の良い加減な所を取って、満州は日本のものですからね。それだけで、戦争を止めてしまえば、世界の世論もそれほどひどくならないで、あれくらいしかたがないと、あと……日本にしても、どこまでも商業的に支那を開発するというようにいけば、蒋介石だって喜びます。そうして行けば良かったんですね。ところが算盤を取らないからね。八紘一宇で、アジアを全部日本にしようと、算盤を取らず、むちゃくちゃにやったからね。

 もっともこれはふつうの理屈であって、神様のほうから言えば、ぜんぜん違うんです。やはり日本は負けて、こうならなければならない。いま言ったのは、絶対に真理とは言えないが、そういうことも知っておかなければならないということです。

「『御教え集』四号、岡田茂吉全集講話篇第五巻」 昭和26年11月21日