昭和二十六年十一月十八日  『御教え集』四号 (7) 

(御論文「算盤と能率」朗読)〔「著述篇」第九巻六二七-六二九頁〕

 いまのでだいたい分かっただろうが、一番……人間がなにかやる場合に肝腎なのは、急所を知ることです。鉄砲玉みたいに……敵を倒すのに一発で……だから、一発で敵にぶつかるようにする。そううまくはいかないだろうが、それを、あんまり無駄玉を打ちすぎるんですね。

 私はつい二、三日前に……鉱山をやってますが……山に行ったんです。それで始めて分かったんですが、行って良かったと思ったね。なんだか行ってみたくてしようがなかったので行ったが、神様に行かされたんですね。やっぱり、全体から見て、ぜんぜん見当違いをやっている。無駄玉やっている。一カ所だけは、今月の月初めに急所をやる方法を指図したので、それはその通り準備してましたが、まだまだすばらしい急所があったんですが、それはぜんぜん無頓着だった。もっとも、そこの許可を受けたのは一〇日ほど前だから、後まわしにしていた。私は、許可を受けたらその日にやる主義ですね。それでそういうすばらしい所を発見したわけです。だんだん……考えながら帰ってくると一刻も早くやらなければならない。帰った晩に……一三日の晩に帰ってきたが、以前の坑道精しく調べて帰れ、という電報を打った。一四日の朝電報を打ったが、調べて昨日帰ってきた。私の思った通りで、すぐに行って、こういうふうにしろと言ったところが、二一日まで待っていただきたいと言う。私はちょうど映画があったので、聞きっぱなしであったが、映画を見て帰る途中、電話をかけて、あした行けと言った。それで二一日までに私が言った通りにして帰れと、すっかり指図したんです。そういうことが、世間並のやり方と異なる私の能率的なことです。私が昨夜言ったので、今朝行ったんです。そうすると一八、一九、二〇、二一……四日間節約したわけですね。これが、いま言う能率ですね。私のやる仕事ですね。だから、そういう点が、見込みがついて良いということになると、一刻も早くやるんですね。そうかと言って、急ってはいけない。急らないで、物の無駄がなく、急所、急所をやっていくんですね。一三日に行ったときに、一番の山の急所を発見したんです。だから、発見した以上は一刻も早く手をつけるというやり方ですから、うまくいくのはあたりまえなんです。そういうことがふつうの人は、割合のんきなんです。いまの論文というのは、そういう意味なんですね。

 私は、ずいぶん仕事をたくさんしますが、一々細かい話はできないんですがね。ふつうの人が一〇日もかかるようなことが、たいてい一日でやってしまいますがね。一昨日、昨日も、東京に行きましたが、美術のことですがね。二日間ですばらしいことをやりましたがね。ふつうの人もある程度まねはできるんです。なんでもかでも、急所を見つけるんです。浄霊でもそうですね。それで、急所を見つけるとそこをやる。一つの主義としてね。癖としてね。そうすると、あんがい早くいくんです。しかし、無理にやってはいけない。どうして明主様はやらないんだろうと思うようなことがありますよ。それは、急所が来ないんです。それまでは、のんきにしておいて、急所と時期が来たら疾風迅雷、すばらしく早い、だからほとんど失敗しないですね。

「『御教え集』四号、岡田茂吉全集講話篇第五巻」 昭和26年11月18日