昭和二十六年十一月八日 『御垂示録』四号 (4)

〔 質問者 〕血族結婚はどの程度まででございましょうか。

【 明主様 】親と兄妹は許されなくて、あとは許されます。従兄でもハトコでもかまわない。

〔 質問者 〕親同士が兄弟でも。

【 明主様 】かまいません。だって、人類の初めは兄妹で結婚したんです。そうでしょう。伊弉諾<いざなぎ>、伊弉冉<いざなみ>にしても、それからできた子供は、みんな兄妹でしょう。それがみんな結婚した。さもなければ、人は増えやしない。で、いまのは理屈だが、実際が、血族結婚しても、別に片端もできなければ頭脳も悪くない。立派なものです。

 先に日光の湯西川に行ったとき、平家の残党が三〇人ばかり隠れていた。なにしろ、どこまで行っても追ってくるので、入ってこられないほど山奥に入って行った。最初はなにを食ったかというと、野老<とろろ>の根を食って、あればかりで生きていたんですからたいしたものです。それから米を作ったりしてきたんですが、いまは人口が九〇〇で、戸数が六〇〇ですか……そうすると、三〇人がそれまでに増えるんですから、それは血族結婚したに違いないです。ところがそれでいて、説明してくれる宿屋の娘は二十二、三ですが、実に頭が良い。というのは、私がなにか聞いても、ちゃんと破綻がない。こっちが聞かんとすることを言う。

 話は違うが、なにか聞いたり、話したりして、返事ができる人というのは、一〇〇人に一人も難しい。たいてい食い違わないまでも、きっちりいかないですね。それから。質問と……答弁の間ですね。間から、答弁の仕方からで、それで頭の良い悪いが分かりますね。ところが、その宿屋の女は、実に合っている。実に良い女だなと感心した。血族結婚の村で、そういう具合だからね。それで、ぜんぜん病人がないんです。勿論医者がないんですからね。九〇〇人の中に病人はないかと言ったら、一人あると言うんです。あんまり酒を飲みすぎてヨボヨボになったじいさんで、他にない。そこの宿屋は、村長もしているし、私設裁判所ですね。人事相談所、警察……みんな宿屋の親父一人でやっている。それで、みんなついていく。湯西川という川がありますが、鮎や山女魚<やまめ>がいるが、だれも昔から食ったことがないから食べようと思わない。それで、一〇人ばかりで行ったんですが、鳥を食おうと思っても、鳥が一匹もいないんです。無論卵なんか一つもない。ちょうど良いあんばいに私は持って行っていた。最中だと思っていたが、開けてみたら卵だった。だから非常に良かった。天麩羅もみんな野菜ですからね。菊の花なんかあったが、なかなか良かった。だから、血族結婚というのは差し支えないということは解った。健康も良ければ、頭も良いんですからね。なにしろ病人がないんだからね。チフスの注射をしに医者が来るが、村中の者が逃げて行く。医者も嫌なんです。おかしいですね。全員に注射しろという命令が出る。そこで医者が来るんですがね。川治の温泉で昼食を食って、それから橋を渡って、四里ある。牛車で六時間かかるんです。だから、人は行かないですね。そこでそういった伝統を守っていられるわけですね。あれは良い見本ですがね。ああいうことは、医者のほうでは隠しているようにするんですね。注射をすると、三日くらい寝てしまう。というのはみんな熱が出るので、それが恐いと言うんです。チフスなんかないんだから、そんなことをする必要がない。それから、飛騨の高山から入った平川村ですか……あそこも平家で、何千人かいる。いつか調査に行ったのを見たが、血族結婚の影響というのはぜんぜん見られないというのが出てました。もっとも近来は欧米のほうでも、血族結婚は差し支えないという説が非常に増えてきました。

「『御垂示録』四号、岡田茂吉全集講話篇第四巻p311~313」 昭和26年11月08日