昭和二十六年十月二十一日  『御教え集』三号 (2)

御伺い 姉MはK・Sに嫁ぎ当年三二歳でございます。昭和一四年一一月二日結婚し、一五年一一月二日Hを分娩(一六年八月胃病で死亡)一七年七月Aを分娩(一九年一〇月胃病で死亡)二〇年一一月Tを分娩(二一年一二月胃病で死亡)二一年九月流産(三カ月)し、農繁期のため身体具合の悪いのを我慢して稲刈をしましたところ、一一月初旬ごろより胃と肝臓を患い、医療を受け、約二カ月療養せしも効果なく、本教を知り御浄霊をいただき、一週間にて起き歩くことができ、一二月二五日入信。二二年五月生家に帰り、静養中九月ごろ不眠症となり、御浄霊により快復。二三年九月嫁ぎ先へ帰り、同年一一月病気のため生家へ戻り、精神病となり静養中のところ、本年一〇月七日ものすごく熱を出し、精神に異状を来し、申し訳ないことに光明如来様の御神体をはずしましたるを、伏してお詫び申し上げます。首が落ちる、顎が落ちると叫びまわり、朝からここが火事になるとか、子供が毒殺されるとか、繩を取ってくれと言い続けておりました。症状としては狐、狸、祖霊などの憑霊現象あり、一五日夜より昏睡状態となり、一七日午前三時三〇分御守護をいただき覚醒いたしましたが、なお精神に異状あり、現在に至っております。この家は祖母が熱心な稲荷信仰者で、現在も屋敷内に祀ってありますが、父親のときよりだれも信仰しておりません。また父は四六歳のとき、本家厩舎にて縊死し、母は急性肺炎で死亡しており、二四年一一月、親代わりでありました祖父も急性肺炎で病死し、現在は私たち兄弟だけの家庭ですが、光明如来様、御屏風観音様を御奉斎させていただいており、近く大光明如来様も御奉斎させていただく予定であります。右は祖霊と狐霊の憑依と思いますが、御浄霊はいかがさせていただきましたらよろしいでしょうか。また屋敷内にある稲荷はいかがいたしたらよろしいでしょうか。

御垂示 赤ん坊が胃病で死ぬなんて、あまりないはずですがね。光明如来様はいつお祀りしたんですか。

御伺い 三年ほど前と思います。

御垂示 精神病になって二年くらいですね。最初はいつです。

御伺い 教修いただくちょっと前でございます。

御垂示 ここ(頚部)に固まりがあります。これを溶かせば良い。ここに固まりがあるために前頭部が貧血する。そこにやっこさんが憑く。狐も憑くし、祖霊も憑くし……いくらでも憑く。自分たちの良い遊び場ができたというわけですね。替わる替わるやってくる。それが狐たちにはおもしろいんです。

 先に、私が精神病のをやった時分に……この暴れる状態が精神病の状態ですね。どんな精神病でも、一番ひどいのは、こういう状態です。死のうとか、いろんなことを言う。こういうことを言っていた中に入っているやつが、「お前、待ってくれ、もう少しやらしてくれ」すると外にいるのが「おい、入れてくれ」と、順次に「俺にさせろ、俺にさせろ」と言っている。出るとすぐお替わりだ。その間に祖霊が出てくる。それから、狐で祖霊の声色を使うやつがいる。実にたいへんなものです。私がやっているときに五、六疋待ってました。それが順繰りにくっついてくる。そうなると憑き良くなるんですからね。だから、祖霊なんか順繰りに替わってくる。

 それから狐が一番おもしろがるのは、人を殺すのがおもしろい。だから、人を殺そうとする。ちょっとでも油断すると首をくくらしたり、外に引っ張り出して水に飛び込ましたり、汽車や自動車に轢かせようとしたりする。殺すと仲間で幅がききます。だから、狐で自慢するやつは、俺はいままでに何十人殺した、と言う。先に聞いたのによると、一番多いやつは四十何人ですね。そのとき考えましたね。人間なんて、なんと情けないかとね。わけなく殺せるんですからね。そういう場合に、神様を信仰していると、正守護神や神様に邪魔されてできない。信仰してないと、そういう御守護がないんです。だから狐のやり放題です。自殺するのはほとんどそうです。新聞に出てましたが、熱海で自殺したのが、錦ケ浦ですが、半年で一二八人だそうです。その埋葬の費用が足りなくて、市の財政は困っている。おそらく、半年で一二八人というのは日本中で一番でしょう。三原山も華厳滝もかなわない。そういう自殺をやりそこなうと、後でどうして死のうと思ったのか、命は惜しいと思う。そんな場合祖霊かあるいは御守護の神様が、ちょっと止めちゃう。すると助かる。そうすると、これはいけないと、狐霊は離れちゃう。そうすると本来の自分に戻るから、どうして死のうと思ったか、助かりたいと、無性に思う。そういうわけだから、信仰に入ってないとしたら、人間には恐いです。安心して生活していけない。

御伺い K・Sの家に嫁ぎ、病状がそこにまいりますと、そうなり、家に帰りますと、少し良くなります。今度帰ってから、二回目が起きました。なにか関係がございましょうか。

御垂示 ありますよ。霊界が曇っている場合はそうなります。家の霊界の曇りの少ない所は、そういう悪霊が跳梁することができないからね。

 みんな胃病で死んだなんて、おかしいですね。こんなことはないですね。よほど祟りがありますね。

御伺い 実家に帰っておりましたほうがよろしいでございましょうか。

御垂示 そのほうが良いですね。K・Sは信仰には。

御伺い 入っております。

御垂示 それでは、当分まだ実家に帰っていたほうが良いです。なにかがあるからね。K・Sは、信仰は熱心ですか。

御伺い そうでもありません。
御垂示 いろいろ霊的にゴタゴタがあって、ある程度解決がついてないから、別々にして、そのままでじっと時日を経過すると、収まるところに収まって、良い状態……良い運命になっていくから、それまで待つよりほかはない。急いでもしようがない。名前も悪いな。いま暴れるようなことはないのですか。

御伺い いまは少し落ちついているようで、覚醒してから、一昼夜半眠り。

御垂示 眠るのは非常に良いんですよ。眠れるようになれば、治るまでに入っているんです。そうして浄霊を続けていれば、だんだん良くなります。ですから、ここ(頚部)の固まりをやって、それからここ(前頭部)を良くやって、できるだけ御神書を読んで聞かせる。それで良いです。そういうのが治るのはどうしても四、五年かかります。すっかり治るのは一〇年以上ですね。どうやら危なくないような状態にでも二、三年かかる。すっかり頭が壊れているからね。でも、治るのは治ります。

 稲荷は祖先からですか、途中からですか。豊川稲荷とか、伏見稲荷とかがありますが、そのお稲荷さんは祖先から続いているのとは違うんですからね。

御伺い 途中からと思います。

御垂示 そうすると、これも関係ありますね。
御伺い 最後のとき非常に長いので、稲荷になにか供げまして、やってやりましたら、それから少し良くなりました。

御垂示 そうでしょう。最初のときは稲荷かもしれないですね。そうしたら、光明如来様によくお願いして、稲荷にお詫びするんだね。長い間かまわなくて、まことに申し訳なかった。だから勘弁してくれ。と謝まるんだね。これは当然ですからね。稲荷として祀ったら、人間が世話焼くというのは当然です。それをしないというのは、狐が怒るのはあたりまえです。だから謝罪するのが本当です。これからは、月に一遍お祀りするからと、よく言うんです。月並祭の後でお祀りするんです。なるだけ好きなものを……油揚げとか……供げるんです。少なくとも、三年以上ですね。そうしてから、気違いをすっかり治せと、よく言うんです。すると、よほど違います。そうして、すっかり治ってから、適当なやり方にすれば良いんです。処理するか、あるいはまた、別の方法にするか。そのときそう言えば、私が教えてあげますからね。

「『御教え集』三号、岡田茂吉全集講話篇第五巻」 昭和26年10月21日