(御論文「経と緯」朗読)〔「著述篇」第一〇巻三一一-三一三頁〕
これはいままでに書いたり言ったりしたことばかりですが、これは『文明の創造』の「宗教篇」に入れるものですから、それで読んだわけなんです。ただ、急所と言うべきは、人間はすべて平凡に見える人が偉いんです。ふつう偉いというと、変わったふうですが、それにごまかされるんですよ。ですから、宗教家で、なにかというと、いやにふつうの人とは変わった格好をしますがね、頭の毛を長くしたり、鬚をうんと生やしたりしますが、あれは本当に偉くはないんです。ですから、それを頭に置いておくと間違いないですね。ですから、私に初めて会った人は、よくみんな驚くんです。教主とかなんとか……教祖様なんて、生神様然としているが、私はぜんぜんそんなことはないからね。びっくりして……分からない人も、好感を持つんです。そんなような具合で、要するに、どっちか……経とか、緯とか。右とか、左とかに偏らないとすると、どうしても平凡になっちゃうんですね。だから、仕事のできる人とか……結果の良い人は、どこが悪いか分からないようで、当たりがごく良いんです。ところが世の中は知らないから、変わった人が偉いように思われる心理状態のために、偉く見せようという人は、変わったことを工夫してやりますが、一つの間違いですが、それを言いたいためにこれを書いたんです。
「『御教え集』三号、岡田茂吉全集講話篇第五巻」 昭和26年10月11日