昭和二十六年九月二十六日  秋期大祭御教え(1)

 今度は割合雨が降るようですが、箱根は、本当は雨が降るのは良いんですがね。熱海は天気が良いほうがいいですがね。これは負け惜しみでもなんでもない。箱根は火ですからね。火は水によって燃えるんですから、本当は箱根は雨が降るほど火の力が出てくる。去年は良いあんばいにあまり降らなかったのは、設備が……去年は降っては困るだろうというので、神様が気をきかしたんです。今年は設備ができたんで、これなら本当に、雨のほうが良いというのです。ですから、私が箱根に来るときは必ず雨が降る。熱海に帰るときは必ず天気になる。これが本当の……本式と言いますか……良いわけなんです。

 それから、浄霊の方法ですが、いままでは振ったんですが、振ると、どうしても力が入る。そこで、これからは振らないで、つまりこれを原則とする。場合によっては少しは振っても良いが、たいていは振らない。そうすると、力が入らないんです。入らないほど光がよけい出るんですからね。しかし、ただこうすると言っても、霊が通るようにできるだけ遠くまで、霊が行くようにすれば良い。力を入れないで、霊が通るようにするんだから難しいんです。要するに熟練ですね。そうすると非常に良く治る。何倍か治る。だから、少しも力を入れないんですね。慣れてくると良い。私なんかも力を入れないほうが治りが良いです。お腹の光が出る場合に、力を入れると……いくらか出が悪くなる。

 病貧争絶無の世界ですね。病気はいつも精しく言ってますから、いまさら説明の要はないと思うんですが、貧乏ですね。貧乏というと、世界中の貧乏はたいへんですからね。いまとしては日本ですね。日本から貧乏をなくすとしても、一番多い階級は農民ですね。日本の農民は、だいたい人口の八割あるんですからね。ですから、農民の懐をあたたかくするというのが根本ですね。一番いいですね。そこで、農民の懐があたたかくなれば、購買力がつくから、商工業もさかんになる。それから、もう一つは農産物が増えれば、日本が外国から買わなくてもすむから、日本全体の懐が良くなる。今年の米作は六四〇〇万石ですね。すると、二〇〇〇万石足りない。二〇〇〇万石外国から買わなければならない。その金がたいへんです。これを買わなくすると、日本全体としては、どのくらい裕福になるか分からない。ですから、日本から貧乏をなくするには、一番は米の増産です。あとは知れたものです。そこで、貧乏をなくするにはいつも言う通り、自然農法にすれば良いんです。自然耕作にすれば、五年続けると、五割の増産は間違いない。なにしろ、いままで肥毒をうんと……土にも入っているし、種にも入ってますから、これを抜くには、どうしても五年かかる。たいてい二年目、三年目からだんだん良くなってきますがね。これを知らせようとして、いま本をこしらえています。それには、今年の収穫……それを実例として載せようと思っている。今年はよほど肥毒が抜けているから、成績が良いわけですから、それを実例として載せて、単行本を作って、日本中の農業関係……農会とか、それから国会議員だとか、新聞方面だとか、とにかく大いに自然栽培というものを叩き込もうと思っている。で、そういう方面に無料で配布しようと思っている。座談会、講演会をして早く日本中に知らせようというのが、一番肝腎なことです。

 もう一つ肝腎なのは、結核問題ですね。これも、いまの米の収穫と同じように、一番必要な仕事です。結核問題と、いまの米の問題と二つが解決すれば、日本はうんと楽になる。半分くらい五六七の世になります。結核問題には『結核の革命的療法』を読ませたい。ずいぶん徹底して書いてます。いままで、厚生省とか……そういった方面を良く調べてみると、差し支えないことが、だんだんはっきりしてきた。ですから、もう少し経ったら、あれも大いに広告して……いままでは信者だけだったのですが、今度は一般に売って読ませようというつもりで、いま計画してます。そうして、いま言った結核問題と米の増産問題と、それを大いに解決しようと思ってます。

 ところが、もう一つの問題は……これは日本だけの問題ではない。世界的ですが、第三次戦争ですね。これは世界中の悩みですけれど、いままで戦争面についてはあまり私は言わなかったですが、どうしても書かなければならない。知らせなければならない。というので書いたのです。戦争は起らなくてすむこともできるんです。ところで、日本にいるアメリカ人の一部で、メシヤ教を研究している集まりがあるそうです。ですから、今度の『栄光』に出すつもりです。それをやっぱり飜訳して、無論本国のほうにも送るに違いない。だから、まず第一歩に外国の頭に入れる必要があるんです。それで書いたんです。このアメリカ人たちは『栄光』や『地上天国』が出るたびに、飜訳して読んで研究しているそうです。それは良い意味において研究しているんですから、とにかく……あたりまえの話で、メシヤ教のああいうものに出ている記事なんかは、おそらく世界中にないですから、注目されなければならないはずです。

(御論文「第三次戦争は免れる事が出来る」朗読)〔「著述篇」第九巻五二一-五二四頁〕

 これは日本人にも読ませたいが、外国人にも大いに読ませたいと思っている。つまり、大戦争といっても、世界中に溜まった塵芥を掃除するようなものですからね。メシヤ教が広がれば、楽な方法で塵芥が取れていくんですから、掃除の必要はないんです。理屈ははなはだ簡単なんです。

 それから、『文明の創造』もだいたい医学は書いたんですが、いま「宗教篇」を書いている。宗教の七難しい理屈は抜きにして、できるだけおもしろく、知らず知らず分かるように書いてあります。その中で、仏教が一番肝腎ですからね。というのは、キリスト教や、そういうのは良く分かってますからね。最初からね。一番分からないのは仏教なんです。そこで仏教を主にして書くんですが、なかなか……仏教のほうもおもしろいですからね。仏教というのは、日本人がつくった。インドで生まれたけれども、元は日本です。それを精しく書きあげたんです。書いていると、どんどん浮かんできますからね。私も大いに教えられる。

(御論文「仏教の起源」「伊都能売神」「観世音菩薩」朗読)〔「著述篇」第一〇巻二八九-二九八頁〕

 浦島太郎が生まれたのは、信州の木曾川の付近です。これはまだ続くんです。この次は「弥勒三会」ですね。この前にもそうとうあったのです。そんなわけでなかなかおもしろいと思うんです。

 それから、みんな知っている通り、美術館は建築に取り掛かりました。来年の夏までに完成するつもりです。それから、向こうの……裏手の流れの付近には「もみじ」を植えようと思う。だいたい「もみじ」を一〇〇本注文しました。それで、いま橋の模型を掛けてありますが、もっと幅の広い太鼓橋のようなものを掛けようと思う。京都の通天橋のようなものにしようと思う。裏手のほうは、そういうわけで「もみじ」の山を作る。それを来年の夏までに作り、それで神仙郷は完成するんです。美術館もいろいろ調べた結果、できあがったうえは日本一になることは間違いないですね。ほうぼうに美術館がありますが、一部分だけです。全般的に……本当の支那、朝鮮のものを網羅している美術館はないです。東京では根津美術館ですが、あそこも、すっかり調べた結果、周の陶器ですが、これは日本一ですが、あとはたいしたものはない。それから、大阪の白鶴美術館ですが、あそこも、支那陶器だけは、やはり日本一のものがあります。今度大阪に行って、白鶴に交渉して、美術館に、優秀品を出品してもらうように話すつもりです。無論先方でも、そう希望しているような点があるようですから、うまくいくと思う。それだけが主なものです。大原美術館だとか、今度近畿鉄道だとか、東京の石橋ビルがある。博物館ですが、考古学的、学問的が主になって、美術という点から言うとはなはだ心細い話です。そんなわけですから、こちらは日本一は間違いない。確信がついている。なんだかんだと言っても、神様がうまくやってますからね。不思議……奇蹟ですね。品物が集まったり、ほうぼうにあるのが分かったりすることができるんです。

 熱海のほうですが、熱海のほうは今年いっぱいに庭園のほうはだいたいできるんです。地上天国の真ん中の山は、「つつじ」を二〇〇〇本植えるつもりです。「つつじ山」ですね。これは日本一に違いない。他にはないからね。これだけで日本の名物になると思います。山はだいたいできました。来月か再来月あたりに「つつじ」を植える。これも不思議なんです。三、四年前に、箱根ノ芦の湖の傍に岩崎の別荘があるが、そこの庭にあった「つつじ」で、岩崎ですから、金にあかしてあらゆる種類を集めたので、それを一〇〇〇本買わないかと言うので買ったんです。いつかいるだろうと思って買ったが、なにも見当がつかなかった。いま考えると、神様がちゃんと用意されたんです。一〇〇〇本を掘ってみると、一株が二本、三本と寄せ植えになっているんですから、いまちょうど間に合う。いま買ったらたいへんな値段だそうです。その時分だったから、割合安く買えた。来年の五月ごろ咲くはずですから、壮観だろうと思う。それから、桜の山を造る。晴々台の左手ですね。狭いと思っていたが、土地を買ってくれと言うので、買うことにした。そこに一〇〇〇本植えるつもりです。吉野山のことを一目千本と言うが、広いのでばらばらですが、こっちは狭い所に一〇〇〇本ですから、さだめし壮観だろうと思う。梅のほうは暮れまでにすっかり終わる。それから春あたりに建築のほうに取り掛かります。これはたいへんな金がかかる。いまそんな金はないので……いまはそれこそ、あまり大きな声で言えないが、金なんかは……とにかく、神様がやっているから、そのときになると必要だけの金は入るに違いないと思ってます。ですから、なにも心配しない。この前アメリカの人が来て……ここでさえ世界一だと言ってますから、熱海ができたら、世界一ですから、日本に来る一つの的にさえなると思います。ですから、熱海ができたら、見たいと言う人がたいへんだろうと思います。どんな人でも驚くだろうと思う。世界中にないわけですからね。それから、御神業のほうもすばらしい発展をする。いまから、そういう兆しが……日本はそうですが、外国のほうにも発展する兆しが見えている。とにかく、来年から本当の……本舞台ですね。そういうふうになるわけだから、たいへんなことになるだろうと思ってます。

「『御教え集』二号、岡田茂吉全集講話篇第四巻p551」 昭和26年09月26日