昭和二十六年九月一日 『御垂示録』二号 (7)

 山ですが、こういう塊りがぱっぱっとある。つながってはいないが……つながったらたいへんです。この山の選鉱は手選鉱で良いんです。ポケットの脈になっているのでね。水上のは至る所にある。山中どこを掘ってもあるんです。非常に大きな鉛ですね。たいしたものです。一トン二〇万円かね。八〇%くらいですからね。十八、九万、二〇万でしょうね。一〇〇トンにして一八〇〇万円です。山で一〇〇トンくらいはすぐです。

 これから経営していくのに何億かかるか分からないから、神様はそれだけの金が入るように、ちゃんとされるんですがね。

  

〔 質問者 〕いま、金山のほうはいかがでしょうか。

 金山はあんまりね。でも良いのは良いですよ。金山は難しいからね。脈が切れるんでね。北海道の鴻ノ舞なんかも切れて、一人の鉱夫かなにかが、最初のうちは何十年やっても駄目なんで、失望して自殺しようと思って欄干から飛び下りようとしたとき、腹を打って倒れ、自分はまだ死なないと言うので、そのとき……その二、三日前に北海道の札幌精鉱所というのがあるが、そこに見本を持って行って、預けて帰るところを、専務取締が窓からのぞいて見ると、一人の男が情けないような格好で帰っていく。「あれは」と言うと「いま鉱石の分析に来たんです」と言うので「それでは、かわいそうだから、してやろう」と言うので、分析したのがたいへんなものです。家に帰ったらその知らせが来ている。そこで権利を売ったんです。そのとき六〇万円でね。そして自分が世話になった人に一〇万円お礼して、自分は五〇万持って隠居した。それから住友で買ってやって見たが、最初良かったが駄目になって、とんでもない失敗をした。一〇年掘り続けても駄目だったが、もう一年だけ言う通りにしてくれと、一年延期した。

 そして一一年目にあてて、それがたいへんなものです。それから住友家はたいへんなものだった。終戦前までは日本一だった。九州の鯛生と競争したことがあったが、鯛生が負けたですね。金山というのは、そういうもので難しい。銅鉱というのは脈が平行している。何本も平行している。それを、こう(貫く)ぶっつければ、みんな当たっちゃう。足尾銅山がそうです。十何本あって、そのうち六本が良いんです。ああいう所は製錬所が大仕掛けになっている。それで、釜石の製錬所……あれも鉱石が足りなくて弱っている。また岩手県宮古の太郎とか、宮城県の日立みたいなやり方ですが。

「『御垂示録』二号、岡田茂吉全集講話篇第四巻」 昭和26年09月01日