昭和二十六年八月八日 『御教え集』一号 (9)

御教え 不感症というのは婦人にとっては重大問題です。この原因も分からないし、治し方もない。昔そういう人をやったことがあったが「どうです、ちっとは良くなりましたか」と言うと、返事ができないんです。ムニャムニャ言ってますからね。こっちは察するよりほかない。そんなわけで、非常に重要な問題で、書いてある通りですから、非常な救いだろうと思います。

 農業のことをちょっと書きましたが、新聞なんかでも、今年は平年作はちょっと難しいだろう。とにかく年々減産の傾向があるですね。ところが農地改良とか……いろんなことをやっているが年々減る傾向だ。これは肥料ですね。肥料のためということは分かりきっている。

 そこで近ごろ、米国が主ですけれど、学者がいろいろ研究した結果、化学肥料が悪いということが分かってきて、かなり多くの学者や実験家がそういう説を唱えてきた。そういういろいろな研究を松井さんという人が調べてきて、今度一冊の本にして……小さい本ですが……出版しようと思うが、大いに農村に配るようにする。だいたい日本人は、西洋で始めたものならなんでも良いと言う……一種の迷信ですね。肥料なんかも。農民といえども、外国で唱え出したものは信用するというので、そうとう効果があると思います。

 それから、今度私が論文書きますが、肥料ですね。これはアメリカの学者の説では、家畜ですね。肥料をやった草を食わせると良く育たない。で、堆肥ですね。アメリカは堆肥に捉われてますからね。まだ本当に分かっていない、八分通りしか。本当言うと堆肥に肥料はないんです。土を固まらないようにするんだから。とにかく堆肥だけで作った野菜を家畜に食わせると非常に成績が良い。ぜんぜん化学肥料をやらないで堆肥ばかりでやって、多くの酪農農場を持っている人に認められた。そういうことが行なわれてきた。ところが肥料は……化学肥料と、昔からやる糞尿肥料ですね。ところが、それが米なら米が吸うんですよ。吸ったなら人間の体に入ってくるんですよ。これがなかなか大きい。かえってアメリカのほうで、そういうふうに唱え出してきたわけですね。ですから、肥料の毒が人間の体に入るということは非常に大きなことですね。しかし薬毒と違ってごく強烈なものじゃない。ですから、それがために非常に害するというほどじゃない。

 しかしながら、いくぶんずつ……先祖代々ですからね……害をしているわけですね。無肥料ですね……自然農法はそういう点から言っても立派な意味があるということを心得ておくと良い。

「『御教え集』一号、岡田茂吉全集講話篇第四巻」 昭和26年08月08日