昭和二十六年五月二十日 『教えの光』(宗教、科学、哲学、芸術)(15)

御伺い キリストと十二人の弟子について。

御垂示 キリストには十二人の弟子があった。そのうち一人、かのユダがイエスに叛いたため、実際は十一人の弟子である。

 その当時、当局の圧迫がひどく、弟子たちはみんな逃避し一〇年の間はひっそりしていた。一〇年以上経ってみんな寄り合って教えの元を作ろうというので、みんなでイエスから聞いた心覚えを書いた。それが『バイブル』であるから、キリスト御自身の書いたようなわけにはゆかないであろう。『旧約』はモーゼが書いたもので夢みたいな謎が多いが、それは神懸りに因るものである。ヨハネが作ったという説もあるが、これはモーゼが書いたというのが本当であろう。圧迫のほとぼりの冷めるに従い、内密に書いたのが『聖書』である。

 仏教のお経とても釈迦の説いたものを弟子が書いたものである。釈迦はただ説くだけであった。

 キリスト教徒にはなかなか偉い人があった。アフリカ探険の有名なリヴィングストン博士の話を聞いたことがあるが、実に偉い人で私も感心した。この人はアフリカ探険の際、あらゆる危険を犯して伝道したが、土人の鉄砲に包囲された中を平然と通過した。そのときの彼は「もし自分が現世に用事があれば、絶対に神は自分を殺さぬ」という信念であったとのことである。

「『教えの光』、岡田茂吉全集講話篇第五巻p297」 昭和26年05月20日