――ある信者さんでございますが、昨年七月ふのりを貼るため浜辺の石を海に入れるとき、その中の一つに直径約一尺三寸くらいの不思議な石(丸い形の石がその中にさらに玉のような石を包むようにしてできており、その外側の一部分が欠けているため中の丸い石がよく見えております)を見つけ、それをその土地の石神様といわれる所(いろいろな石が祀ってある場所)に預けておりましたところ、その後この人の従妹が病弱のため現在住んでいる函館の「とちのきさん」という行者風の老婆に見てもらいました際「貴方の親戚の人が海辺で非常に不思議な石を見つけ、それをどこかに祀っているはずだが、その石はその人と因縁があり、金毘羅さんが憑っていて、以前この人が遭難したときに力を振って助けたことがあるから、家に祀り変えをして毎日お水を上げるように」と申したそうでございます。
事実いまから約二〇年前、沖にて小舟に乗り漁の最中、大波風に襲われて危険になりましたとき、救助船に助けられて港まで曳航してもらい、その際波しぶき一つ入らずに救われたという記憶があり、これらのことを考え合わせまして、さっそく家にその石を持ち帰り、御神前の左隅にお祀りしておりますが、これはどのようにさせていただきましたら、よろしいのでございましょうか、お伺い申し上げます。
この石は、子持石といってよくあるもので、事実石が子を生むものである。こういう石には神霊がよく憑るもので、この人の祖先が金毘羅様を信仰していたその功徳によって、御守護を賜ったものである。しかし床の間の隅ではいけないから、御神体と隅との間くらい、無論御神体に向かって右のほうに祀ればいいのである。月並祭の後お祭りしてあげるとお喜びになり、ますます御守護くださるものである。
「『地上天国』二十号、岡田茂吉全集講話篇第五巻p」 昭和26年01月25日