〔 質問者 〕現在の俳優のうち、明主様がこの人は……とお思いになられるのはだれでしょうか。
俳優で演技のうまいのはたくさんいますが、特別に飛び抜けてうまいのはいないでしょうね。みんなうまいですよ、よくやってますよ。それに現代物と時代物とで違いますしね。俳優によってそれぞれに特色がある。なんの役にでもいいのは人気のある上原、長谷川、大河内、阪妻などでしょうね。けど、この中でも特色があって、剣戟物はやはり大河内がいいでしょうね。……ただ、日本の女優には美人がないんでね。(笑声)
〔 質問者 〕原節子なんかはいかがでしょうか。(笑声)
いやあ。(笑声)
〔 質問者 〕田中絹代は。(笑声)
あれも嫌ですね。いやに利口ぶってて嫌ですね。……演技はやっぱり自然がいいですよ。技巧なんか使うのは嫌ですね。自然さ、入って俳優になりたてのまだ泥臭いうちがいい。少しできるようになると芸をする、そうなってくるともうつまらないですよ。そんなのがたくさんありますからね。
〔 質問者 〕日本の内地は湿度が高いので技術的にいい映画ができないのではないでしょうか。
ありますね、そういう点は。だからハリウッド……いったいにアメリカは日本より乾燥してるんで、よけい映画がよくできるんですよ。ハリウッドなんかその点最も条件がいいんですね。日本の製作者はこういうことにあんがい無関心ですね。やはり大資本がないんで、そこでやむを得ずズルズルと今日のようになったんですね。湿度ってのはまったく写真に影響しますからね。
「『御光話録』十八号、岡田茂吉全集講話篇第三巻」 昭和25年04月23日