〔 質問者 〕外国人でありながら特に日本の文化芸術を愛しこれに心酔した、例えばフェノロサ、小泉八雲、ブルーノ・タウト、ウォーナー博士などの人々は、日本となにか特別な霊的関係があるように存じますがいかがでしょうか。
勿論霊的関係はあるが、霊が向上すると、芸術的にある程度理解力が一致する。よく外人で日本の文化に憧れる人が多いが、日本の芸術は非常に高いからそうなるべきは当然である。判らぬのは霊性が低いからだ。これは日本人も西洋人も同じだ。狩野芳崖が、有名になったのはフェノロサ氏に発見されたからで、フェノロサ氏が彼の画を買ってアメリカで展覧会を催し、それで有名になった。フランスの博覧会で、芳崖は龍や鍾馗などかいて出品したが、これらは架空的なものとして落選したにみて、そのころの日本人はいかに理解がなかったかが判る。と言うのは維新後一時混乱状態となったりして日本文化を軽蔑したからでもある。日本で最も優れた美術の生まれたのは東山時代から元禄ごろまでであろう。特に桃山時代から元禄時代に最もすばらしいものができた。それに比較すると、現代は実に低いので、鑑賞眼が高くなると楽しめない。近来、アメリカ人なども、美術の鑑賞眼はよほど高くなってきた。先日も信実の六歌仙などもアメリカの人に判ってきたということを聞いた。またフランス人で茶器のよく判る人もある。このようにして日本の芸術品もだんだんに世界的になってきたのは喜ぶべきである。宗教的に趣味を高めるのは最もよいことである。
「『地上天国』十四号、岡田茂吉全集講話篇第三巻」 昭和25年03月20日