〔 質問者 〕建築の場合、棟木を継ぎ合わせるとき、頭と頭を継ぎ合わせると長男に障ると申しておりますが、なにかわけがありましょうか。
これは尾と頭、尾と頭と繋ぐのが本当で、切った木でもなお霊が残っているからである。すべて逆は不可である。だから私など部屋に品物を置くにも法にかなった置き方をする。よく神様の本の上に小説などを置くとなにか障りがある。すべてに順序がある。以前宝山荘にいたころ、ある部屋へ入るとだれでも気持ちが悪くなる。これも調べてみると私の色紙の上に普通人のかいた色紙がのせてあって、順序が間違っていたので、取り除いたらなんともなくなった。よく階段の上から目下に挨拶されるときは困るので、私は急いでその人の位置まで上って挨拶をする。あらゆるものに法がある。言葉でも仕事でもそうである。木なども格のある木とないのとあり、格のあるのは庭の上座に植える。私の造る庭はそういう点に注意してあるから、気持ちがよいのである。言葉に順逆がある。心得ていると自然人に好感を持たせる。「法にかなう」とはそのことを言うのである。いまの世の中で政治でも人事一般がうまくゆかないのはそういう点がでたらめであるからである。
「『地上天国』十号、岡田茂吉全集講話篇第三巻」 昭和24年11月20日