昭和二十四年八月二十一日 講話(3) 光録11

〔 質問者 〕馬頭観音、准胝観音、不空羂索観音、如意輪観音、十一面観音、魚籃観音、揚柳観音のお働きにつき御教示ください。

 これを詳しく言ってると時間がかかりますがね。いろいろ本なんかにも書いてありますが、しかしあんな説明は間違った所がたくさんありますよ。

 馬頭観音ていうのは観音様が獣になられるんで、悪魔と闘うときに獅子奮迅の働きをされ、そのときはそれはものすごく悪魔以上ですよ。たいへんなお姿で、馬の首になられ口から火焔を「カーッ」と吐いて、髪の毛も逆立っていると言われますね。画や彫刻なんかにもありますね。

 准胝観音っていうのは、これは変な字が書いてありますが、とにかく御位を低くされてのお働きですよ。准胝っていう言霊がそうですね。准というのは従うという意味であり、胝は低いっていうことですからね。

 不空羂索観音は霊線のお働きですよ。不空ってのは空に非ずで、実際だっていうことですね。羂索っていうのが霊線に通ずるんですよ。

 如意輪観音は如意の玉を振われるんで、これははっきり本に書きましたが、これはたいへんなお働きですよ。

 十一面観音ってのは十一お顔があるんで、真ん中にお顔があって、その上の三つは慈悲で右横の三つは勇猛ですね。それから左の三面は怒りですね。観音様も怒られるんですが、ただ行動には表わされないですがね。それから後ろのが笑いです。そして一番上に仏様があってあれを仏と言いますがあれは阿弥陀如来でね、この場合は阿弥陀様が観音様の上になってるんです。それは、実は、阿弥陀様は観音様の母になるんで、それを表わしているんですよ。

 魚籃観音っていうのは、漁師に魚を与えるんですね。これにはおもしろい伝説があるんで、非常に信仰の深い漁師に観音様が魚を恵んでくださったんです。それから、その土地で魚籃観音を祀るようになったというんです。あれはたしかインドでしたかね。

 それから、揚柳観音というのは、揚は「あげる」ですね。柳は「やなぎ」の字が使ってあるけども、龍神のことであって、龍神を救うお働きなんです。

 まだこのほかに、千手観音とかいろいろありますが、しかしたいして意味のないのもありますよ。例えば、白衣観音、……もっともこれは意味がないこともないんで、観音様がごく落ちぶれたような姿をしていらっしゃるわけですね。それから龍頭観音なんて龍の頭の上に乗ったのもありますし、百体観音っていうのは一〇〇体あるんで、東京の中野にあるお寺にちゃんと石で刻んで一〇〇体ありますがね。

 とにかく、観音様ほどいろんなお働きは他にないんですよ。

「『御光話録』十一号、岡田茂吉全集講話篇第二巻」 昭和24年08月21日