〔 質問者 〕日本文化は世界の文化の中において独自のものが多いように存じますが、将来世界文化に貢献する面はどのようなものでしょうか。
独自の文化って言いますがね、どこでもそうですよ。それぞれどこの国にでも独自のものがあるんです。また、それでいいんですよ。だから私は世界は絵だって言うんですよ。絵だからいろんな色があるんです。ところが、その中で赤が青を悪く言ったり、青が黄色を悪く言ったりしてるんですよ。
そこで、日本の「色」は美術ですよ。これが日本独自ですね。日本の美術というものは外国にいくら誇ってもいいものですよ。で、私はこの美術を世界に知らせるために、建築、工芸、絵画などをやるべくいま準備してるんです。いまやってる庭園だって美ですからね。ところがいままではそれを知らなかったんですが、これは駄目ですよ。ま、判りやすく言えば、いままでの日本はヤクザだったんです。で、自分の繩張りを拡げようとしたところが弾圧されてしまったんです。しかし本当はそうじゃない、日本はヤクザなんかしないで芸術をすべきなんです。
〔 質問者 〕それは東洋と西洋を含んだものでしょうか。
勿論、世界的なもんです。……まったく、いままでは地獄的な芸術が多かったんですよ。ま、それもいままでの地獄的世界には必要だったんですがね。しかし、これからは天国的芸術に変わるんです。
〔 質問者 〕世界的なものが入りますと、日本独自の面が薄くなるように存じますが……
それが日本独自のものなんですよ。薄くなったのが独自なんです、判るでしょ。だから日本人くらいあらゆる芸術を理解できる人種はいないですね。音楽だって日本人くらい西洋音楽を理解できるものはないんです。絵だって、彫刻だってそうで、油絵でも日本の画家の中には西洋の一流画家に比べて遜色のない人もありますよ。こういう点からも日本人にこの方面の使命のあることが判るんですよ。