〔 質問者 〕長男は必ず家を継ぐべきでしょうか。
継がなくてもいいですよ。昔、戦国時代に大将が討ち死にした場合、すぐ後釜を据えなければ一軍の士気に影響しましたからね。それで長男をすぐに後継ぎにすることに決めてあったんです。いまもその習慣が残っているんですから、必ずそうしなければいかんということはありませんよ。しかしなにも特別の理由がなければ長男が継ぐのが本当ですね。事情があって長男じゃ具合が悪いっていうんならいいですがね。それからまた、長男が自分から相続の権利を放棄することもありますからね。例えば非常な劇しい恋愛関係があって、どうしても一緒になりたいのに、女のほうが長女で一人娘だったら、女の家のほうでは養子に欲しいですからね。そのときに男のほうが養子でもなんでもいいから恋しい女と一緒になりたいっていう場合には、その長男が養子に行って次男が後を継げばいいですよ。なにも、どうしても長男が後を継がねばいかん、とこだわる必要はありませんよ。
「『御光話録』十号、岡田茂吉全集講話篇第二巻」 昭和24年05月23日