〔 質問者 〕歴史には二〇〇くらいまで永生きしている記録がありますが、あれはなぜでしょうか。
毒が少ないからですよ。しかし二〇〇と言ってもいまはないですよ、昔のことですよ。これは嘘か本当か知らないけど、仙人の一番永生きしたレコードは八〇〇歳ですよ。その次が六〇〇いくつでしたかね、仙人で二〇〇歳なんて言えば早死にですよ。
仙人は朝鮮が本場で、日本にたくさんいたのはみんな朝鮮の仙人の弟子なんです。朝鮮にはいまでもいるそうですがね。なにを食うかって言うと、蕎麦粉と松葉を練り合わせた団子を食っているんです。そして仙人の修業のときには、最初にその団子を一日に三つ食い、次に二つにし、一つにして最後には水ばかりにするんです。たいていの人はここでまいってしまうそうですがね。その水だけのところを卒業した人が大仙人になるわけですが、とにかくそういう食物で永生きするんですよ。
私もだから九〇以上になったら絶対粗食にするつもりです。絶対粗食にすると栄養器官が非常な活動をするんで、ずっと若返るんですよ。だから年をとるほどいわゆる「栄養」を食わないようにするのがいいんです。栄養不足だから弱いって言いますがとんでもない間違いですよ。みんな、栄養過剰だから弱いんです。いまは田舎のお百姓も蛋白が足りないからどうの、ビタミンが足りないからこうのと言ってますが、あれはあべこべで、つまりお百姓はあんなに粗食をするからあれだけ労働ができるんです。肉みたいなものを食べてたらあんなに続きはしませんよ。登山家でも本当の登山家は一週間前から絶対菜食にするんです。外国の登山家でもそうなんですよ。肉や魚を食べて山に登ると息が続かないんです。菜食が一番人間の栄養なんです。ですから私はいま美食してますがね、栄養不足になりゃあしないかと心配してるんです。(笑声) みんな魚や鳥がいいんだと思って、そういった料理ばかり作るもんだから、「こんな栄養不足のものばかりじゃいけない、もっと栄養のある野菜をつけるように」って始終やかましく言ってるんです。
栄養のことについて今度本に書きますが、いままでの考えとはまるで違うんです。やれビタミンだなんだって言ってそういうものを摂ると、体が弱ってしようがないですよ。完成したものを食うと必ず体が弱るんです。完成してれば栄養器官が働く必要ありませんからね。ところが、そういった器官が活動するのが、人間の生きて行く力になるんですから、それが働かずにすめば器官も弱るし体も弱るんです。実に、なんて言ったらいいか、まあ馬鹿ですよ。(笑声) これだけでも知らして眼を覚まさなくちゃ、どうにもならないんです。