昭和二十三年十月八日 御講話(1) 光録(補)

 〔 質問者 〕無肥料栽培の二年目で獲れた米でございます(現物をご覧に入れる)。一升につき二〇匁、一俵で二、三升重いようです。

 四年目くらいから増収になります。無肥料でやれば第一花落ちがしない。背丈は少し低いが茎は太い。肥料をやると弱くなり茎も風に折れたりする。見たところは立派ですがね。……だんだん無肥料にして行かねば駄目になりますよ。最近虫害の多いのも肥料のためです。無肥料なら実際手間がいらない。消毒薬を使えば虫は死ぬが一緒に土も死んでしまいます。まさか土にかからぬように薬を使うわけにはゆきませんからね……

 〔 質問者 〕果実はいかがでしょうか。
 いいですとも、なんでも……なにしろ薬を使うと弱くなってしまうのです。人間も薬を服むととても弱くなるのです。しかも化学肥料を使えば米がこれを吸い、そして人間が食べるので体が非常に弱くなるのです。……果実なんかも同じだが根の周りの土を固めてはいけない。冬の間に根の周りを掘って土を柔らかくしておくといい。春になると細い根から養分を吸って大きくなるのですから。……堆肥は使ってもいいですよ。掘った所へ入れたらよい。堆肥は草の葉のほうがいい。木の葉は繊維が固いから畑なら土の下へ一尺くらいの厚さに草の葉を入れ、さらにその下に一尺くらい木の葉を入れたらいい。堆肥は熱を出し暖めるからいいのです。魚の腐ったのや鶏の「フン」もごくいけない。木の葉や草ならば自然でしょう。そこらにもあるのですから、その自然がいいのですよ。雑草はよく伸びるでしょう。あれは無肥料だからですよ。……田圃へやる水をあたためるのは結構です。池へ溜めておくのはいけない。かえって冷えてしまうから。「日なた」をよけい流してから田へ入れるようにしたらいいのです。木やわらの灰もやらぬほうがいい、天から灰なんか降ってこないでしょう。肥料に使っている石灰だって灰ですよ、木と石の違いだけです。……無論無肥料でやるからって改良は必要ですよ。稲なんかも神様が最初作られたときは一穂に五粒くらいだったんですが、いまではだいたい三〇〇粒くらいでしょう。人口の増加と平均して米粒のできるのも殖えるのです。いま日本は食うだけの米がとれないが本当はとれるべきで、とれないというのは、とれないようなこと、間違ったことをしているからです。

「『御光話録』(補)(年代不詳1951頃)、19481008、岡田茂吉全集講話篇第一巻p500」 昭和23年10月08日