まず他人に徳をとらせる

 御用する人は、あまり何かの理由がないかぎりは、物質や利益<りえき>に心をひかれるようでは、まだまだダメであります。神様の御前<みまえ>に、清き名前を残<のこ>すということを第一と考えるようになりたいと思います。そのように努力<どりよく>いたせば、物的なものは、必ず徳相応<とくそうおう>に授<さず>けてくださいますから、けっして心配することはいりません。徳を積めば徳だけのものは、遅<おそ>かれ早かれやってきます。しかも遅ければ遅いほど、それに利子<りし>がついて、非常に大きな徳がいただけます。ですから、なるべく神様の方へあずけておいて、まず、他人<ひと>さまに徳をとらせるよう、努力していただきたいと思います。

 多くの人の中から選ばれて、神様のお仕事をさしていただけることは、これは前生<ぜんせい>の因縁<いんねん>によるものであります。自分は身魂<みたま>が浄いから神様に寄せられたということもありますが、一概<いちがい>にそう考えることは間違いです。むしろ、罪があるために、人よりもさきに集められて、人よりも苦労<くろう>をさしていただくのだ。そのかわり、つとめあげたならば、私どもの家の名誉<めいよ>になることでありまして、どんなにご先祖さまがお喜びになるかわからないのであります。