キリスト教は、キリスト生誕の時から在世中は固より、十字架に懸られるまでの全ての事は、微に入り細に渉ってかきつくされているので、今改めてかく必要はないから、私としての今まで何人もかかなかった事柄についてのみかくに止どめておくので、読者は了解せられたいのである。
私が常にいうごとく、神は何千年に渉って、天国的文化を形成する目的の下に経と緯の経綸をされて来たのであるが、その経の経綸の代表的宗教としては仏教であり、緯の代表的宗教としてはキリスト教であった。そこで仏教については既に解説して来たから、今キリスト教に移るが、緯の経綸こそ物質文化の進歩発展の基本であって、すなわち科学である。今日驚くべき文化の発展は、全くキリスト教以来の世界的経綸である事は言うまでもないが、ここにおいてキリストはなぜ生れたかという事や、その他の点について次に詳しくかいてみよう。
「文明の創造(未発表)」 昭和27年01月01日