この病気は日本人特有のものであろう。種類も脱肛、内痔核、外痔核、出血、掻痒症、痔瘻<ぢろう>等がある。
いずれも浄化に因る膿及び毒血が肛門部から排泄されようとする為である。本医術によればいずれも容易に全治するが、ただ痔瘻のみは他の痔と異る。それは激痛と多量の膿が排泄されるからで、もちろん治癒に長時日を要する。医家は初発時穿孔排膿を行うが、この為さきに喉頭結核において説いたごとく、隣接部に再腫脹する。又手術という具合に漸次瘻孔を増し、遂には蜂の巣のごとくなるものである。この理によって初発時放任しておけば自然穿孔し、保有するだけの排膿によって全治するが、本施術によればいかなる重症といえども短期間に全治する。世間よく痔瘻は治ると肺病になるというが、これは手術等によって排膿を停止する場合、膿は肺に向って侵入喀痰となって排泄される–その為であるから、痔瘻によって肛門から排泄される方が安全で、苦痛も少い訳である。痔瘻の膿は脊髄カリエスと同一原因で、脊柱部を通じて流下するものである。
ここに心得おくべき事は、痔出血は非常に良いのである。何となれば、これによって頭脳頸部肩等の凝りの原因である–毒血が減少されるからである。又痔瘻に因る膿の排泄も同様の効果があるをよって、世人の恐るる痔瘻も出血も実に天の恩恵ともいうべきである。
「天国の福音」 昭和22年02月05日