「新約聖書の中の左の句、
『・・・大祭司いう「汝はキリスト、神の子なるか」イエス答えていう「汝の言えるごとし、かつ我汝等に告ぐ、今より後汝ら人の子の、全能者の右に座し、天の雲に乗りて来るを見ん』
において、イエスの言った言葉の一句々々には重要な意味があることゝ存じますが右について御教示下さい」
これはつまり大祭司が″お前は神の子か″ときいた。そこでイエスは″お前の言う通りだ、今から後お前たちは″聖書というのは文章がはっきりしない、どっちにもとれる事があります。聖書はイエスの弟子が書いたものであり又ヘブライ語から英語、それから日本語に譯<やく>したんだから譯が完全でない所もあるのでしょう。″お前たちの支配者の者、これは右に座する″のだから左の次、従って全能者の次の次の意味で、月、女の働きです。全能者というのはエホバで、右に立つのはイエスで、それが雲に乗って降るのだからメシヤの降臨ですね。
「実はキリスト教信者にこの御仕事の御話を致しますと、例え信者でなくとも一度でも聖書をよく読んだ人ですと聖書の中にその・・・」
偽キリストだっていうんでしょう?
「はあ、それでそれが非常な差障りになる事が多いのですが、この点の疑いを解いて頂ける様な御言葉を頂けたらと思いまして、御伺い致した次第でございますが」
駄目です。疑いを解こうとしたって駄目ですよ。いくらあんたがね、一生懸命に言ったってね、分りませんよ。言えば言う程益々偽キリスト、巧妙極まる偽だと思うだけですね、えゝ。まあ時機が来なければ駄目ですね。ーーそれにね、若しあの時代に救世主が現れたとしても、あの頃は交通が不便だったし、人もまばらであったし、世を救おうとしても、到底全世界を救うなどという事は出来なかったでしょうし。
今は交通が極度に発達して、国と国との連絡も直ぐつく様になり、全世界は一つになりつゝあり、世界連邦という案さえ出ている。
まあこんな事から考えれば、大体分るでしょう。