腫物及び火傷、切傷

 腫物には瘍疔<ようちょう>はもとより、普通の腫物、結核性、毒虫の為等種々あるが、いずれも浄化作用であって、体内の不純物が毒血膿汁となって皮下に集溜し腫脹し、皮膚を破って排泄せられるのであるから、全く生理的自然作用ともいうべきで、放任しておけば順調に治癒するのである。しかしながら右の過程の多くは激痛を伴うのみならず、瘍疔のごときは生命に関するほどの危険ありと教育されている為非常に恐怖を感じ、しかもそれは手術によらざる限り治癒不可能とされている関係上急ぎ医師に行く、医師は薬剤の塗布又は氷冷、湿布等にて散らさんとするが結局は、メスによって排膿の余儀なきに到るのが普通一般である。しかるに手術の結果は薬毒等により意外な悪化を招く事があるのみか、手術の為の治癒遅延は免れ得ないのである。

 結核性の原因は、浄化発生によって一旦皮下に集溜腫脹せんとする時、氷冷その他の方法によって浄化停止を行う為、還元又は固結する結果固結毒素の再浄化は初発時より執拗であるから、これを結核性というのである。

 虫類又は獣類による傷害、すなわち蜂、蛇、蝮<まむし>の類、鼠、猫、犬等に咬まれた場合、その動物特有毒素の為、それぞれ症状は異るが、苦痛甚だしく蝮、鼠、犬等に至っては生命の危険すらある。しかし本医術によれば、蜂の刺傷は数分間、蝮害は数時間、狂犬は数日間にて完全に治癒するので、その実際を見る時何人もその偉効に驚くのである。

 火傷及び切傷の場合大抵は化膿する。それは人体の一部に傷害を負う場合、傷害部に近接せる毒素を主に、他の各部にある毒素といえども誘導的に傷害部に集溜する。それが化膿であるから、これは大いに喜ぶべき事であると共に放任すれば必ず順調に治るのである。そうしてすべての痛みは薬毒であり、痒みは然毒あるは特殊薬剤によるのである。又すべて皮膚に関する疾患の予後は醜痕を残す。すなわち手術は引吊りとなり、薬毒は紫黒色等の痕跡を貽すが、自然治癒によれば右のごとき醜痕、色痕は貽<のこ>らないのである。右いずれの症状といえども、本医術によれば重症も容易に治癒するのはもちろん激痛もたちまちにして緩和、又は除去されるので、患者の歓喜は常に経験する所である。

「天国の福音」 昭和22年02月05日

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