書籍

『戸棚の整理は一番うまいよ』

 たくさんの品物の整理ということでも、明主様は実にキチンとなさっていらっしゃいました。  美術品を倉庫に納めます時に、『背の高い品物は棚の端へ、低いものは中央へおくように』とおっしゃったことがありましたが、見た目に美しく …

乱雑にすると頭の働きがにぶる

 明主様はよくお身廻りのものを整理されながら、『私は物の区分けや始末がうまいから、道具屋なんかやればいいな』とご冗談をおっしゃいましたが、場所と物に応じ、整然と処理されるその周到さ、それは全くひとつの芸術でもあったと思い …

ほんのわずかの違いでも

 明主様のお召物の仕立には、私はずいぶん気をつけました。たとえば、衿巾がちょっとでも狭いとすぐお気づきになられて、縫い直しを命じられますし、丈などちょっと違っても、ほんとうに二、三ミリぐらいのちがいでも、すぐ気がつかれて …

返事を書いて出す方も

 たしか昭和二十八年の夏ごろ、ある映画雑誌社が各方面にアンケートを求めたことがありました。  その一枚が明主様のところへ舞い込んだのです。きっとその雑誌社は、明主様が大の映画ファンでいらしたことを知っていたのでしょう。そ …

緊張ほぐしの冗談

 よくお側にいまして、私どもが緊張してお仕えしておりますと、それをほぐすように冗談をおっしゃったり、昔ご自分がご商売をしておられたころのお話をして下さいました。  そして、『昔は“スキ油一本おくんなさい”と行って買いに来 …

明主様をにらみつけた大鯛

 ご長男に赤ちゃんがお出釆になった時、明主様はそのお祝に、大磯のご長男のお宅へ行かれました。  私も調理のため、お伺いしていましたが、その時、明主様は、私の家内がお孫さんを抱いて出て行くと、それをごらんになられ、『この赤 …

『育ちは争えないねえ』

 おやすみの時は、私たちは明主様ですから、むろんおふとんを厚くして、二枚お敷きしたところ、『私は育ちが育ちのせいか、薄い方が好きだ』とおっしゃられ、一枚とらせていただいたのですが、『やはり育ちは争えないねえ』とお笑いにな …

『なれれば天国だよ』

 昭和二十三年、清水町の仮本部へ御面会に行った時のことです。御面会後お側の奉仕者から、「きょうは忙しいからお手伝いしてほしい」と言われ、献上品の整理をしておりました。すると一緒に整理していた先輩の奉仕者が、「この献上品を …

落語“釜ドロ”に涙をためてお笑い

 あるとき、私は、非常におもしろい落語を咲見町で聞いていたので、それがバカにおもしろかったものですから、お退屈しのぎにと思いまして、「明主様、落語をひとつ申し上げましょうか。もうお聞きになっていらっしゃるようでしたら、ひ …

『うん、そうか。それでよし』

 私たちが廊下で立ち話している時、明主様がおいでになられたのを知らないでいますと、明主様が首をお突込みになられて、『ウン、ウン、そうか。それでよし……』なんて──。  そうかと思うと、何か申し上げて御用がすんで、なお、し …