救世の光

四 浪曲

 俳優以外の名人について語りたい人は二三に止まらないが、私は若い時から浪曲が非常に好きであったからここに書いてみよう。私の浪曲好きは関東節にかぎるので、今もて関西節に興味はもてない。したがって、関東節を主としてかくのであ …

五 音曲・講談・落語

 音曲についても少し書いてみよう。音曲といえば、以前大阪では浄瑠璃といい、東京では義太夫という、それが王座を占めていたことは衆知のことで、忘れもしない大正の初め頃かの有名な豊竹呂昇が大阪から毎月のように来ては、その頃の有 …

六 尾形光琳

私は若い頃から絵が非常に好きであった。そうして古今を通じて私の一番好きな画家は、なんといってもかの光琳である。光琳派のなかでは光悦も宗達も光甫も乾山も、それぞれよいところはあるが、なんといっても光琳は断然傑出している。彼 …

七 美術

 絵  画  日本美術を語るにあたつて、絵画彫刻と美術工芸とを分けて書いてみよう。  まず日本画であるが、日本画の現在は危機に臨んでいるといってもよかろう。事実、容易ならぬ事態に直面していることは、斯道に関心を持つものの …

一 竹の庭

 白亜の美の殿堂、箱根美術館は神仙郷の上段に聳え、緑の風がわたる。楓の根もとの岩苔をぬらして、谷川の音。「この岩の配置には手が入っていますね。石組の法によって自然に人工を加えてありますね。」はじめて訪れて、その手際の凡な …

二 神を知らぬ者

 人類がすべて神を知らぬ者となるとき、この地球は滅びるであろう。聖書にいう世界の終末が訪れるであろう。今や最後の審判は迫っている。  明主はいう。善とはなにか、神のなかにある。神とともにあるものに悪はない。悪は神を認めず …

三 真善美の世界

 神の目標であり、かつ救世教の建設しようとする地上天国は、真善美まったき理想世界である。ここに真とは真理の具現ということである。ところが現在の社会において、人間はただ生きるために、アグセクはたらいているばかりで、そこには …

四 一葉の松葉

 中国の絵画は宋元時代のものが最も傑出しているという。なかでも牧谿、梁楷、馬遠などの墨絵は特にすぐれているといわれるが、それらの名品が箱根美術館におさめられている。その馬遠の「高士観月」の前にたつ。「月光蒼く幽谷に籠め、 …

五 岩の庭

 美術館で先前みた白山松哉の蒔絵の文台と硯箱の印象が、いつまでもあざやかに残っている。多くのすぐれた作品をみる際には、それらのなかで最もすぐれた逸品の印象だけが残り、その他のものはあとかたもなく消え去ってしまう。ここに芸 …

六 神仙郷

では神仙境はどうしてできたかということである。明主は箱根と熱海を非常に好んでいた。戦争の激化で疎開地を箱根にもとめ、箱根なら強羅にかぎると思っていた。すると強羅の故藤山雷太氏の別荘が売りにでたので、早速、購入した。土地は …