米国に於ける驚くべき病者の氾濫

 下記<左記>の報告〔略〕は本教信者立松文二君が、米国ノートルデイム大学(カソリック系)に留学一カ年を経た最近一まず帰朝したが、かねて依頼してあった現在米国における主なる病気の統計を、精査記録したものを持って来たので私はこれを見るや唖然としたのである。それは余りに私の説を立証しているからである。そうして今日日本人の誰もが思っている事はつい最近までは世界医学の覇権を握っていたかのドイツを追抜き、今日隆々たる米国医学の事であるから、定めし素晴しい成果を挙げているに違いないと予想していたであろうし、私もそう思っていたところ、事実は全然裏切られており、その悲惨なる現状には驚くの外ないのである。もし今後もこの趨勢<すうせい>が続くとしたら、この恐るべき状態は益々増大すると共に、いずれは国を挙げての一大危機に直面するであろう事も、想像に難からないのである。

 しかも米国が現在一大脅威として、国を挙げてその対策と共に努力しつつある彼のソ連の軍備と、そうして共産主義の執拗な侵略的行動である。ところがそれとは別なこの健康問題についての重大性も閑却出来ないので、むしろ共産主義以上かも知れないと思うのであって、これこそ一日といえどもゆるがせに出来ない大問題である。
というのは共産主義の脅威にしても、自由主義国家群の連合の力でともかく抑えられている現状であるに反し、こちらはそうはゆかない。何故なれば現代医学の幼稚なる為未だその原因すら判らず、分っても解決の方法さえ不可能であるとしたら事はすこぶる重大である。それもそのはずどころか我々からみれば、実は医学そのものが原因となっているという信ずべからざる程の意外な事実である。としたらこの点に気付かない限り、今後といえども悪化の一途を辿るのみであろう事は、下記<左記>の統計を見ればよく分るのである。それは年を経るに従い加速度的にあらゆる病気が増えつつある事実である。従ってこの趨勢が続く限り、向後<こうご>一世紀を経ない内に今日のごとき強大なる米国といえども、急速度に衰退の止むなきに至るのは、断言して憚<はばか>らないのである。

 今私は世界の文明諸国を見渡したところ、ともかくキリスト教を以て立国の方針とし、一般国民が神を信じ、正義の行われている国としては、まず米国を以て第一と見てよかろう。それが又米国繁栄の基礎ともなっており、偉大な国家としての原動力ともなっているのは争えない事実であろう。今日世界の平和を維持している国の王者としてはもちろん米国であるとしたら、何よりもまずこの国を救うのが、平和と幸福に対する最大条件であろう。この意味において一日も速かに同国における病気増大の根本原因を知らせ、解決方法を教ゆる事こそ神の大愛でなくて何であろう。従って、私は統計の順に一々の病気について、その原因と治す手段と、予防の方法とを詳しく明示して小冊子となし、同国大統領始め、各方面の識者、医学関係者に配布するつもりである。

 ところでここで日本についても言いたい事は、米国医学が如上<じょじょう>のごとき実体であるにかかわらず、今日最も優秀なるものと誤信し、それを採入れようとしているのであるから、実に悲しむべき盲点である。これも全く唯物科学に囚われている結果で、米国医学の外形的進歩としての施設や、機械の優秀、強力なる新薬の続出等に眩惑された結果に外ならないので、米国と同様危ういかなである。従って日本の当事者もこの文を読んで速かに自覚されればいいが、依然として迷夢から覚めないとしたら我国の将来も暗澹<あんたん>たるものであろう。最後に一言<いちごん>したい事は、医学が進歩する程病人が増えるというその鉄則は、現在米国が遺憾なく全世界に示している一事である。
(自観)

「栄光175号」 昭和27年09月24日

S27栄光