(二)前説

 神言については、総論にもちょっと触れたように、大祓詞(おおはらえのことば)とか、中臣祓詞(なかとみのはらえのことば)とか呼ばれてきた。これは藤原氏の遠祖である中臣家の時代以来唱えられてきた、古い歴史を物語るものであり、一般にたんに祓詞<はらえことば>といわず、とくに大祓詞<おおはらえのことば>といって、大の字を加える意味は、個人のみならず、国家社会全体の祓という意味であり、神社神道においては、普通六月末日と十二月末日に大祓式を行ない、そのさいに奏上するを例としているからである。だが、あえて、六月、十二月にかぎらずに奏上している例も少なくない。

 本教では、これを「神言」と呼び、大祓詞とは言わず、特別の祭典に奏上しているのである。

 この祝詞は長文であり、悠々たる太古神代における神話伝承を叙事的に、または朗朗たる格調をもって叙情的に物語るものと言うべく、その解説は限られた紙数では到底為し得べくもないかもしれぬが、この「てほどき」においては、しばらく、字句の表面だけでも学びたいと思うのである。 また、長文であるから、古来十二章または七章にわけて学ぶを例とするが、本篇で
はこれを七章に区分することにした。

 すなわち、
 第一章 皇孫が地上に降臨されること。

 第二章 騒乱の地上平定のこと。

 第三章 宮殿ご造営と罪の発生のこと。

 第四章 罪を浄むる神事のこと。

 第五章 神々罪を清めたもうこと。

 第六章 祓戸四柱の神のお働きのこと。

 第七草 結びの言葉と祈りのこと。

とし、以下全文の大意と、個々の章句について学びたいのである