ある晩、ご口述の筆記をさせていただいた時です。
私の不注意から書き損いまして、新しい原稿用紙と取替えようといたしますと、明主様は、『おまえ、なぜ一字や二字間違えただけで紙を取替えるんだ。そんなもったいないことをしてどうするんだ。たとえ一枚の紙でも、作った人の身になってみろ。私などは、こうして懐紙 (明主様は懐紙をメモ代わりに使われます)に書けなくなれば裏返して使うくらいだ。鼻紙にするんだって、乾して二度も三度も使うようにしている。そんな料簡じゃ出世はせん。もっと物を大事にしなさい』と懇々とお諭しいただき、深くお詫び申し上げたことがありました。
また、タバコ(朝日)なども、お吸いかけのものというよりは、もうほとんど口付きだけしか残っていないような短いものでも、決してお捨てにならず、灰皿にお立てになっておかれました。まだ御奉仕に上がってまもないある時、掃除の際、もうご不要のものと思って、捨ててしまったことがありましたが、その時も大変厳しくご注意をいただきました。