たとえ干物一枚にも誠はこもる

 ある日、信者さんから干物の献上がありましたが、明主様は干物は平生あまり召上がらないからと、差上げるのを控えていたのです。

 すると、献上品目録をいつも明主様にごらんにいれますが–その目録に干物と書いてあるのをごらんになって、『ここに干物と書いてあるが、一向に出てこないじゃないか。どうしたんだ』とお聞きになりました。

 それで、「これはもうお次ぎ(お屋敷の奉仕者のこと)の人たちがみんなでいただきました」と申し上げますと、『おまえたちはそんなに干物が好きなのか。献上品まで食べてしまうほど、好きなら、私のポケットマネーで買ってあげてもいい。一万円もあればいいか』と半分おからかいになるような、また笑わせながらおっしゃいましたが、結局信者さんの誠だから、たとえ召し上がらなくとも、お出しするのがほんとうだとお諭しになったわけです。

 かように、明主様は信者さんからの誠を、隈なくお汲みとりになられる状態であられました。