私は神山荘の近くに住んでおりましたから、ときどきご揮毫用の墨をすっては、お屋敷にお届けしておりました。ところがある日、視でする代わりに、楽にやろうと思い、墨を水に浸して柔らかくし、それをスリ鉢ですってお届けしました。
明主様は、その墨をお使いになってご揮豪になられました時、『この墨はだれがすったんだ』とお手伝いの奉仕者にたずねられ、「長村という者がすりました」と申し上げると、すぐお呼びになって、『わたしはちょうちん屋じゃない。墨というのは視でするのがいいので、する人も修業なんだし、墨はすることによって光(つや)が出るんだ』と、ご注意をいただきました。